2015年版「少子化社会対策白書」から:女性の精神性と社会的行動が変容する日本
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◆ 平均初婚年齢は13年時点で29.3歳、
◆ 第1子出産時の平均年齢は30.4歳1980年からの30年間あまりで約4歳上昇。
(今後、きっともっと上りますね。)
若年層の所得の伸び悩みや出産後の女性の就労継続が厳しい状況が
晩婚化・晩産化の背景にあると指摘。
(これ、結構こじつけと思います。)
内閣府が2014年度実施の意識調査も紹介。
未婚で恋人がいない20~30歳代の男女へ「恋人が欲しいか?」と質問に対し
「欲しくない」という回答が37.6%。
交際する上での不安を複数回答で聞くと
「そもそも出会いの場所がない」55.5%で最多
次いで「自分は魅力がないのではないかと思う」34.2%。
20~30歳代の未婚・既婚の男女全体に対する子育ての不安要素質問では
「経済的にやっていけるか」63.9%
次いで「仕事をしながら子育てするのが大変そう」51.1%。
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実は、白書の報道の前日、21日の中日新聞に
日本生命保険が行った結婚に関するアンケート結果を報じていました。
小さな記事で、何人に対してのものかの記述もなく、ずいぶんラフで、
ボリュームもない記事だったのですが、以下メモしました。
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独身女性の31.0%が結婚に後ろ向き
男性は16.3%でほぼ半分で、全体では24%。
結婚に否定的な女性のその理由は
「一人でいるのが好き」29.8%
「結婚にプラスのイメージが持てない」29.0%
「将来結婚したいと思うか」という質問に対し
「結婚したくない」女性が20.4%(男性9.2%)
「あまりしたくない」女性が10.6%(男性7.1%)
ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストのコメント
「働く女性が増え、結婚に経済的なメリットを感じなくなっている
のではないか」と。
「自信喪失」「将来不安」
この2つの言葉が浮かびますが、どうも根源的には
面倒なこと、めんどくさいことから逃れたい、関わりたくないという
私が<1億総モラトリアム社会日本>、というところのメンタリティに
理由があるような気がしています。
実際の白書は、前年度版の紹介ページを見ると分かるとおり
かなりの分析レポートで構成されています。
毎年まとめられ、これがアベノミクスにおける少子化対策などに
反映されるのですが・・・。
果たして、真に影響力を持つかどうか、実現可能かどうか・・・。
残念ながらほとんど期待できないし、作文に過ぎないと思います。
もし経済的な不安が、大きな要因ならば
出産や育児・保育・教育にかかる費用を、できるだけ社会保障費から
充当する。
高齢者の医療・介護に対する社会保障費の一部を子どものために活用する
システム・制度に改善・変革する。
今のところ国や自治体が主体的に取り組み、導入できる政策は
これだけです。
これこそ行うべき少子化抑制、早婚化・多産化促進政策です。
企業サイドの責任や義務を法制化して、その負担を押し付けることは
職務怠慢・責任回避以外の何ものでもないのです。
もちろん企業はできる限りの制度設計と支援組織体制化・マネジメントを
行うことが望ましいのですが、社員の雇用と賃金の支払い、法人税納付
などでも社会的責任を果たしているのです。
それに比べ職員の賃金と組織の運営コストを税収に依存している国・省庁
や地方自治体の仕事は生ぬるい・・・。
プロフィットセンターの機能を持たず、コストセンターでしかない。
ならば歳出削減と歳出の内容の質・効果を高めて行くことにこそ
その存在意義を見出せるのです、が・・・。
国・省庁、自治体の役割を述べました。
とは言うものの
主張した政策が大胆に行われたとしても、必ず成果・効果が上がる
保証は、実はありません。
それは、結局、「結婚や出産は、個人の自由」の領域のモノ、コト。
誰かが強制するわけには行かないということです。
私は
人間の精神構造は、喜怒哀楽などの情緒的な要素においては
紀元前の時代から現代・今日に至るまで
本質的には変化がないのが特徴と考えています。
しかし
ここ10~20年くらいの間に、その精神構造をベースにした
社会的行動において、2つの大きな変化が起きてきたと捉えています。
一つ目はグローバル社会における変化で「同性婚」行動、
もう一つは、狭い日本社会に見られる、未婚・非婚と子どもを持たない選択行動、
です。
この認識・問題については
機会を改めて考え、論じていきたいと思っています。