高齢化社会の働き方多様化のモデルは自営業:「高齢化と日本経済」から考える(5)

 

日経紙<時事解析>欄で、2015年5月11日から5回連続で連載された
「高齢化と日本経済」

そのテーマは
「65歳までの雇用を義務づける改正高年齢者雇用安定法の施行から約2年。
高齢者の経済活動は日本経済にどんな影響を及ぼしているのか、
統計データなどを基に現状を分析」

各回ごとの内容をお借りし、
経済面からでなく、生活面から高齢者の生き方、生活を考えてきました。

第1回 ⇒ 高齢者の体力・能力は千差万別。シニア世代の新しい価値観・人生観形成へ 
第2回 ⇒ シニア消費・就労に頼らず、次世代のための制度・戦略を
第3回 ⇒ 高齢者よりも次世代の需要供給能力を高めることが優先課題
第4回 ⇒ 高齢者の能力の公正な評価処遇制度再設計と活用を

今日は第5回目、最終回です。

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その5.起業も選択肢に。働き方多様化急げ

働く意欲にあふれる高齢者を企業は雇い続けられるのか。
専門家の間では、現在の再雇用制度には限界があるとの見方が強まっている。

八代充史・慶大教授は、
従業員が希望すれば企業が事実上、
拒否できない再雇用制度は
従業員の年齢構成をゆがめ

企業のコスト負担を増やして国際競争力を奪う可能性があるとみる。
また、再雇用を減らすために「従業員に希望させない」行動をとる
インセンティブ(誘因)を企業に与えかねないと警戒する。

権丈英子・亜細亜大教授が示す解決策は能力主義の徹底
高齢者だけ能力に応じて処遇せよと企業に求めるのは無理があるからだ。
年功賃金制度を改め、仕事の能力や実績を加味しながら多様な働き方を
選べる仕組みを若い社員も含むすべての人に導入すれば、
高齢者の処遇も能力に見合う形になると提案する。

柳川範之・東大教授は
「自営業や社会的起業など様々な働き方が
広がった方がよい」と説く。

総合研究開発機構の推計では70~74歳で働く人の約3割は自営業主

日本の65歳以上の就業率は約2割で主要国の中では高いが、
自営業者が多かった1960年代などを下回る。
定年がない自営業は高齢者の活躍の場として重要だ。

柳川氏は「雇用延長」以外の働き方を定着させるためのキーワードとして
「能力開発」と「ネットワークづくり」を挙げる。
「新しい仕事に挑戦するためのスキルを磨ける場や、
一緒に起業する若者と出会える場などを民間主導で増やしていく必要がある」
と強調する。

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企業に所属して働く立場の高齢者のほとんどは、
自分で人事制度を変えたり、決めたりすることができません。
現役世代も当然のこと、です。

かといって、人事担当部門、人材担当部署が、完全にイニシアティブをとって
それらの制度を改廃することも不可能です。
実際に、定年延長や再雇用制度の運用や賃金処遇制度の改訂において、当事者
も現役世代も全員が満足・納得するように行うことも極めて難しいと言えます。

学者や評論家が理想を掲げたところで、企業規模・業種・競争環境・経営状況
などの多因子の組み合わせからなる人事人材政策・制度が、自動システムとし
て機能することなどあり得ません。

どんな条件・事情であっても共通して言えること。
それは、高齢者が自分で希望するこれからのステージの働き方・稼ぎ方を、少
しでも事前に構想し、準備していくことのみです。

当然、事前に残されている時間・期間、使うことができる時間・期間は、年齢が
若いほど多いわけです。

特に、これからはいわゆる現役世代も、ワークライフ・バランスにケア(介護)
を加えた「ワーク・ライフ・アンド・ケアバランス」設計を必要とします。
その取り組み・実現方法として、私は、起業や家業、いうならば「自営業」を
めざすことをお薦めしたいと思います。

私自身、実は、経営コンサルタントとして法人を興して独立したのが38歳の時。
なんとか30年近くこの道でやってこれましたが、いうならば公私混然とした
生活の仕方、時間の使い方で、バランスを取りながらの人生でした。

バランスを取りながらと言いましたが、時にはアンバランスもあったのは
当然です。

事業収益に応じて、給料を増減し、経費も増減し、法定福利費も増減し、
身の丈なりの暮らし、ワーク・ライフ・バランスを図りながら今日を迎え、
今、ケアをどうするかの検討・準備を加えて、一生のバランスシートを
考えつつ日々を送っています。

だれもが、自分の得意とする分野や技能・技術を持っているでしょうし、
仮に仕事でそういうものがなくても、趣味・嗜好・関心領域に視野を広
げれば、何かお持ちと思います。
インターネット時代は、その好きな分野、得意な分野について情報発信し、
知見を広げていくことで、起業や人のネットワーク化が可能です。
好きな仕事、やりがいのある仕事を自営業化する。
働き方の多様化とは、働く意志のある人が、自営化した仕事の仕方の形
ビジネスの形を本来意味すると思うのです。

ネット6

企業が、社員全員の一人ひとり、異なる働き方を認容することは、ある意味
不可能に近いのではないでしょうか。
費用と収益の管理の単位が個人とされ、その個人ごとにビジネスが完結され
ればそれも可能でしょうが、それはムリというもの。
どこかでひずみが生じます。

 

自営こそが自分が多様に希望する、状況に応じて柔軟に対応したい
ワーク・ライフ・アンド・ケアバランスを実行・実現する手段であると
思うのです。

現状既に高齢者の段階に入っている場合、これは困難かもしれません。
ただその段階にある人は、年金受給期に入っており、一定の経済的基盤を
持っている恵まれた環境にあるわけです。

ですから、パートで働きたい時間だけ働く、自分の持っているスキルを
使える仕事を選んで働く、退職金を資金として起業する、など、まだ
選択肢もあるはず。

まだまだ楽しみながら働くことができると思います。

先ほど申し上げたことは、ですから今現役世代の方々にお伝えしたかった
ことであります。

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