法案可決で、実行段階に入る女性活躍推進政策:日経【女性の力を引き出す】から考える(1)

 

日本経済新聞は、
<アベノミクス>の女性活用・女性活躍政策に殊の外ご執心です。
同紙の「経済教室」面の「ゼミナール」と「時事解析」欄。
そこで、昨年2014年から今年にかけて
◆『女性力活用の課題』<ゼミナール>(2014年7月16日から10回:にっせい基礎研究所)
◆『女性の力を引き出す』<時事解析>(2014年12月22日から5回:辻本浩子編集委員)
◆『女性登用の課題』<ゼミナール>(2015年4月16日から10回:第一生命経済研究所)
と<女性>をテーマにしています。それらのシリーズを素材にし、他の視点も時おり挟みながら
女性活用問題を、経営視点、男女・結婚問題、結婚・出産・育児・家族家庭問題、
生き方などと絡ませ、シリーズで考えています。

これまで、上の最初のシリーズから
<日経ゼミナール【女性力活用の課題】を考える(2014年7月掲載)>と題して
以下のように関連付けて考えてきました。
第1回:女性の就労率向上が出生率向上につながるか
第2回:男女雇用機会均等法の目的と成果とこれから
第3回:就業率や未婚化・晩婚化など気にせず自分の人生設計で
第4回:雇用形態で異なる育児休業制度利用度と出産後就業継続率:
第5回:限定正社員制の向かうべき方向・方法
第6回:仕事と家庭の両立支援は安保法案よりも平和に貢献する重要課題
第7回:働き方を変える目的と方法を見直す
第8回:女性の賃金・収入が増える働き方・人事制度と女性起業企業づくり
第9回・第10回:女性活用の目的と手段を個別に再評価・再構築へ

今回からは、
◆日経(時事解析)【女性の力を引き出す】から考える(2014年12月掲載)>
として5回シリーズで考えていきます。

今日はその1回目

----------------------------
1. 成長戦略の一環に 企業も対応を急ぐ (2014年12月22日)

----------------------------

日本では人口の減少と高齢化が進む。
経済や社会に活気をもたらすには、
意欲と能力のある人が性別や年齢に
かかわらず力を発揮できるようにす
ることが欠かせない。

大きな柱となるのが「女性」だ。
働く女性は増えたが、力を伸ばせる環境が整っているとはいえない。
就業希望者も315万人(2013年、総務省調べ)いる。
眠れる人材を生かすために、一層の取り組みが必要だ。

安倍晋三首相は13年4月、「女性の活躍」を成長戦略に掲げた。
「指導的地位に占める女性の割合を20年までに30%にする」との目標も
明示し、保育サービスの拡充などを進めた。
集大成といえるのが14年10月に国会に提出した「女性活躍推進法案」だ。
大企業や自治体などに、女性の育成・登用に向けた行動計画づくりを義
務付ける。
衆院解散により廃案となったが、政府は15年の通常国会で法案を成立さ
せることを目指している。

企業も動き出している。経団連は加盟企業に自主的に行動計画を立てる
よう要請した。
7月に49社、12月には316社が、経団連のホームページで計画を公開し
た。

公開した企業のうち、管理職登用の数値目標を設定した企業は約6割に
達した。
社内・社外に向け、女性を育成する強い意志を示したといえる。
国の目標である「30%」をすでに達成している企業は2社、今後達成す
るとした企業は19社あった。

法案は、早ければ16年4月に施行される。
企業だけでなく、女性が多く働く病院や大学なども対象だ。
いち早く準備を始めることが必要になる。

 

04

-----------------------------

上記の『女性活躍推進法案』は、2015年6月4日の衆院本会議で可決され
ました。この後参院に送付され、今国会で成立する見通しです。

企業や自治体に女性の採用比率や女性の管理職比率等の登用において独自
の目標設定を義務付け、情報の公開方針などを含めた行動計画をつくるよ
う定める、10年間の時限立法です。

上記の、経団連の
女性の役員・管理職登用に関する自主行動計画」で自社の目標を公開し
ている企業とその内容は、こちらで見ることができます

また、「女性活躍推進」政策を体現する政府の活動の中に、経済産業省が
東京証券取引所と共同で取り組む「なでしこ銘柄」があります。
なでしこ

「女性活躍推進」に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する
投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、そうした企業へ
の投資を促進し、各社の取組みを加速化していくことを狙いとしています。

東証1部上場企業を対象に、①女性のキャリア促進②仕事と家庭の両立
サポートの2つの側面からスコアリング。各業種上位企業から財務面のパフ
ォーマンスもよい企業として平成26年度は以下の40社を選定しています。

なでしこ銘柄

なんとなく環境整備、外堀から埋める感じ、でどうなのかな?と思ってしま
うのですが・・・。

何にしても、こうした動き・活動は、どうしても大企業に委ねられるわけで
種々の女性支援人事・福祉制度も平行して拡充されます。
そのおこぼれの一部は、男性社員も頂戴できるわけで、日本全体には良いこ
とと思います。

ただ願わくば、女性のキャリア促進と、仕事と家庭の両立の中に、結婚・出
産・育児という女性としての生き方も含むモノ、コトであって欲しい・・・。
そう思います。
特に、出産は、女性しか成し得ない行為であり、一つの事業でもあります。

単に、減少し不足する労働力の貴重な要員として、あるいは高い能力を持つ
要員・人材としての活躍推進人的資源とみることは、果たしてどうなので
しょうか・・・。

人口減少も一面で見れば、生産性を高めるための要素・要因になり得ます。
しかし、出産もしくは出産につながる結婚という生き方を選ばないキャリア
形成、キャリア志向となるならば、これからの社会全体にその影響が種々
広がっていくことになります。

それが果たして経済的な豊かさで社会を支えていくものとなるのか、少子
高齢化の度合いが、現在の見通しよりもより長期化していくことにつながる
か・・・。
その行方と影響を決めるのは、女性ということになりそうです。
041

 

関連記事一覧