高齢化・老朽団地&マンション・空き家対策で医療福祉拠点作りと不動産市場活性化:国交省 ・新「住生活基本計画」原案

2016/1/19付日経の
「大型団地を福祉拠点に 住宅10年計画で国交省  高齢化、地域と連携」
と題した、国交省からの事前リークの情報に基づく記事を以下に紹介します。

-------------------------------

国土交通省が2016~25年度までの10年間の住宅政策の方向性を示す
住生活基本計画」の原案が18日、明らかになった。
国交省は住生活基本法にもとづき、同基本計画をおおむね5年に1度見
直している。

少子高齢化への対応」と「マンション・団地の老朽化対策」、さらに
全国に広がる「空き家をどう抑えていくか」の3つを優先課題にすえ、
見直し案を22日開催する有識者会議に提示した上で個別分野の詰めを進
め、3月にも新計画を閣議決定するもの。

<URの150物件で>高齢化対策では、独立行政法人の都市再生機構(UR)が全国に抱える
大型団地のうち、大都市圏に持つ1000戸以上の約200団地について、
25年までに150カ所程度に介護サービス施設などを誘致し、地域の医療
福祉拠点
に転用する。
在宅訪問型の医療や介護サービスを受けやすいように関連施設をUR団
内に誘致したり、近くの既存施設と連携し、高齢者が自立して生活で
きる
環境をつくる。

すでに千葉県柏市の豊四季台東大とも連携して在宅医療や介護予防
を目指した街づくりに取り組むなど、41団地が福祉拠点化の計画に着
手し
ている。
新計画で対象の団地を大幅に広げる。

これとは別に国交省などが管轄するサービス付き高齢者向け住宅
(サ高住)のうち、デイサービス施設などの高齢者生活支援施設を併設
した住宅の割合を、25年に9割(14年で77%)にする目標も設ける。

老朽マンション対策では、マンション建て替え件数(1975年からの累計)
を25年に約500件(14年で約250件)に増やす計画。
マンション建て替えの法的手続きは、代表的な「区分所有法」で所有者
の5分の4の合意が必要。規制のハードルが高く、建て替えのペースは
鈍いのが実情だ。

<空き家対策推進>

また、不動産市場
の活性化に向け、中古住宅の流通規模を25年に8兆円
(13年は4兆円)へ倍増する目標も掲げる。

具体的には、老朽マンションの建て替えを促すため、今通常国会に提出
する方針
の「都市再生特別措置法改正案」に、自治体が再開発事業と位
置付けると
合意条件を所有者の3分の2に緩和する内容を盛り込む。

老朽化した中古住宅・マンションの修繕などを進めるには、中古市場を
活性
化して別の買い手に移して行く必要がある。
具体策として、仲介契約時に専門家が老朽化をチェックする住宅診断
おこなうなどして、その内容を購入者に説明する仕組みを検討している。

これにより中古物件の流通市場を25年に8兆円(13年で4兆円)に倍増
させ、
リフォーム市場を同12兆円(同7兆円)に拡大する方向だ。
国交省は今通常国会に提出する宅地建物取引業法改正案にこうした内容
盛り込む。

高齢化で増え続ける空き家の対策も推進する。
昨年5月に全面施行された空き家対策特措法にもとづき、各地の状況に
応じた「空き家等対策計画」をつくる市区町村数を20年に全国の約8割
(14年でゼロ)にする


---------------------------------

ざっと読むと、望ましい政策・計画案と読めるのですが、問題は、その
中身のかなりの部分・事項は、社会福祉政策と関連するコト。
すなわち、厚生労働省(や一部文科省等の管轄の政策課題と密接に関係
しているということです。

従い、例えば、前回のブログのテーマとした
高齢者・子育て世代支援補正予算批判
での高齢者施設や保育施設などの課題は、そのものズバリで関係してい
ます。
その予算化と、国交省の2016年度からのこの「住生活基本計画」とは、
整合性が取れているべきです。
厚労省などの中長期計画と調整されているべきことも当然のことです。

そして地方自治体と関係省庁との両軸で面を構成し、時間軸を加えて政
策課題を統合します。
そこに財政・予算計画と規律が付随して、執行されていきます。
当然、財務省が絡みます。
不動産市場の活性化、となると経産省も・・・。

というわけで、遡って問われるべきは、昨年度までの国交省の「住生活
基本計画」において、介護や保育施設と関連付けた政策・計画がどのよ
うに組み込まれ、どのように実行・執行されたか、検証されているかど
うか、です。

マスコミは、今回の原案がリークされたときに、これまでの計画内容と
結果の検証を国交省や厚労省に求めるべきです。
そして、新3本の矢や、女性活躍支援法、一億総活躍社会実現をめぐる
政策・計画の関連事項が「住生活基本計画」としっり繋がっているかを
確認すべき・・・。

そもそも、この「住生活基本計画」原案の内容は、厚労省から発表され
てもおかしくない、というか、厚労省から発表があるべき内容、と感じ
られたのですが、どうでしょうか?

国交省の計画としてしっかりコミットしているのは、結局、不動産市場
の活性化、にあることは明らかで、厚労省はその実現のための道具、く
らいの感覚なのかもしれません。

一見、一読「いいね!」ですが、よくよく考えると、結構、違うところ
に思惑があるようで、油断がなりません・・・、ぞ!

関連記事一覧