シングルマザー支援は、保育・雇用・住宅等総合的政策で:企業助成金は使途不明金の性質

2016/2/2 付日経の
「ひとり親就労 支援厚く 厚労省、企業への助成金も拡充」
と題した記事を紹介します。

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厚生労働省は4月から、離婚でシングルマザーになった人などが正社員
といった安定した職に就けるよう経済的な支援を拡充する。

就職を目指し教育訓練を受けるひとり親や、ひとり親を雇う企業への
資金補助を増やす。
ひとり親家庭の雇用と収入基盤を強め、安倍晋三政権が掲げる
「一億総活躍社会」の実現につなげる。

教育訓練の支援では専門学校などに通う人に受講費の一部を援助する
自立支援教育訓練給付金」の支給額を上積みする。
いまは10万円を上限に受講費の2割を受講者に支給している。

4月からは2倍の20万円を上限とし、補助割合も受講費の6割にする。
財源は2016年度当初予算で賄う方針。
20歳未満の子どもを持つひとり親なら雇用保険に加入していなくても
利用でき、自治体が指定するパソコン技能研修、介護職員向け研修など
で補助を受けられる。

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かねがね、こうした教育訓練が本当に企業が必要な人材・能力に合致して
いるのか、疑問を感じています。
所定の教育訓練で学んだレベルのパソコン・スキルが、即戦力として実務
に有効かどうか・・・。
その企業独自の処理方法があったり、工夫を要求された場合に、教室で習
った内容と異なり対応できないことが多いのではと思います。

介護職員向け研修も、否定はできませんが、実際にその職に就くと、賃金
は安く、勤務時間は遅番や夜勤なども求められ、保育との両立が困難であ
ることが恐らく多いのではと思います。

これまで、こうした職業訓練のために行ってきた補助の成果・効果を示す
資料・データを見たことがありません。

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企業向けの助成金も4月から広げる。
現在はひとり親を試みに雇う企業に1人あたり最大15万円を払う奨励金と、
無期雇用する企業に1人あたり最大60万円を支給する助成金の2つがある。

現在、企業はどちらか1つの制度しか活用できないが、4月からは併用を
認める。
無期雇用に切り替えた時点で助成金も申請できる。
仮採用で働くひとり親をそのまま本採用する企業が増える効果を期待できる。

就労支援に先立ち、厚労省は1日、子どもの教育支援策も拡充した。
子どもの高校や大学の授業料に充てる貸し付けの上限額を、これまでの1.5倍
に引き上げた。
市町村民税の非課税世帯が対象になる。
例えば子どもが大学生の場合、月6万5千円までだったが、最大9万7500円
まで借りられるようになった。

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結局、シングルマザーの雇用実績に応じて企業に補助金・助成金を支給する
ことが、最も手っ取り早い方法で、それでお茶を濁すことが関の山、となっ
てしまう可能性が高いんですね。

しかし、補助金・助成金を出したからといって、雇用されるひとり親の賃金
が多くなるわけではありません。
その金額分、企業サイドの人件費支出が補填され、少なくなるだけのこと。
企業にプラスになっても、当人に上乗せして支給されるわけではないのです。
本来ならば、採用した人材が、期待した以上にスキルが高く、既存社員より
も高い能力をもち、発揮すれば補助金・助成金をそちらの方に充当すべきな
のですが、果たしてどうでしょうか・・・。
そして本採用後には、能力や仕事に応じた賃金体系を適用する・・・。

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この問題には、雇用・仕事、保育・教育、住宅・住居などを結びつけた総合
的な政策・施策が必要です。

根本的には貧困と格差問題に行き着くことになりますが、少子化対策、女性
活躍という視点からの取り組みとも統合される課題です。

シングルマザー・母子家庭、シングルファーザー・父子家庭の問題は、その
親の多くが、派遣社員・契約社員・パートタイマーなど非正規社員(職員)
として働かざるをえないという雇用面からも問題となっています。
また、制約された就業条件などから、希望する保育が得られない待機児童問
題と繋がります。
離婚などひとり親世帯に行き着いた要因と現実の解決策・対策も不十分。
高い住宅費負担が、貧困生活に陥れる最大のリスク要因となります。
こうした負の連鎖が増幅し、問題を深刻化させています。

政府の政策は、まだまだ細切れの対策。
すべての領域を一度にカバーするまでに至っておらず、相談を受ける窓口も
一本化されていません。

シングルマザー、母子家庭の仕事と子育ての両立が非常に難しい日本社会。

手元に『シングルマザーの貧困』(水無田気流さん著・2014/11/20刊)
ルポ 母子家庭』(小林美希さん著・2015/5/10刊)があり、後者はいま読み
始めたところです。

これらと、雇用問題なども重ね合わせながら、このテーマを追っていきたい
と思っています。

 

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