企業主導型保育所頼みの待機児童対策。設置運営基準緩和と補助金で、国・自治体は責任回避

参院選挙をにらんで、待機児童問題の解消のために、ひたすら基準緩和と
補助金政策まっしぐらの政府・自民党。

2016/5/15付日経で、毎度ですがそうした動きを先だしリークする
「企業内保育所の補助金、認可保育所並み、5万人目標へ設置は届け出のみ」
と題した記事がありました。

やはり、企業頼みで「企業内保育所」がターゲット。
手法は、種々の基準の緩和と補助金支給の、定型パターン。
以下、紹介します。

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政府は今年度から始める新たな企業内保育所制度の詳細を固めた。
設置する事業者への補助金を認可保育所並みの水準に設定。
地域の児童の受け入れ義務を外し、認可保育所よりも保育士や定員の基準
を緩める。
自治体に届け出をするだけで設置できるようにして、迅速な普及を促す。

保育所政策日経
※同記事掲載の資料を、そのまま転載させて頂きました。

 企業主導型保育事業は待機児童対策の目玉として5万人分の受け皿を目
指すもので、5月16日から事業者の募集を始めた。
政府は保育施設の受け入れ枠を2017年度末までに10万人増やす目標を掲げ
ており、目標の半分を企業内保育所で賄う。

 事業者にとって最大の利点は認可保育所並みの補助金を受け取れること。
施設整備費の4分の3相当が助成される。
これまで企業内保育所が認可保育所並みの補助を得るには国の設置基準を
満たし、社員の子供以外に地域の児童も受け入れる必要があった。
補助金が手厚くなることで深夜勤務が多い企業は長時間保育に対応しやす
くなる。

 企業主導型保育施設を設ける際には自治体の認可は必要なく、届け出だ
けで済む。
これまでよりも迅速に施設が設置できるようになる。

 設置基準も緩める
認可保育所は定員20人以上で、原則として保育士が従事する必要がある
新制度は定員19人以下で、従事者は保育士が半分以上いればいい

 複数の企業との共同設置も認められる
地域の大企業が周辺の中小企業と共同で設置したり、保育関連事業を手が
ける企業がその他の企業と共同で設置したりすることを想定している。

 企業側の関心は高く、今月2回実施する企業向け説明会は募集開始後す
ぐに満員になった。
企業の保育分野参入で競争原理が働き、質の向上につながるとの意見があ
る。
一方で企業主導型保育所は認可外保育所の一つで保育の質の低下を懸念
する声もあり、保育のサービスと質のバランスが普及の課題になる。

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<企業内保育所とは?>

企業が事業所内やその周辺に設置した育児中の従業員向けの託児施設。
福利厚生の一環として使われており、昨年3月時点で全国に約4600カ
ある。
企業内保育所には初期投資と運営費の両面で国から補助金が出る。
これまでは保育所が事業所の敷地や従業員の通勤経路などにあること
が補助金の条件だった。
今回始める企業主導型保育施設は条件を緩め、原則として保育施設を
どこに設置しても補助金をもらえる
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<塩崎厚労相に聞く>

厚生労働省は3月に待機児童解消の緊急対策を発表している。
保育の受け皿を迅速に増やすための方策が並ぶ一方、保育の質の低下を
もたらすとの批判もあり、塩崎恭久厚生労働相に聞いた。

Q1:国よりも厳しい設置基準を定める自治体に基準を緩めて一人でも
多くの児童を受け入れるように求めているが。

 「無理強いのつもりはない。余裕があれば、国の基準を上回る分を
受け皿として活用してくださいとお願いしている。例えば都内の保育所
が1人ずつ受け入れを増やすだけで2千人分以上の受け皿が確保できる」

Q2:他業種よりも大幅に低い保育士の給与を引き上げる効果は。

 「少なくとも2%引き上げるが、報酬だけで解決する問題ではない。
保育の受け皿整備がまず第一の課題だ。経験を積んだ人が評価されるよ
うに保育士のキャリアアップの仕組みもつくる必要がある。業務のIT
化も進める。人材の確保は総合的に考えないといけない」

Q3:少子化対策予算は足りているか。

 「子供に対するお金のかけ方は欧州に比べると低い。社会の活力を
守るには子育てをしっかり支援することが大事だ。ただ必ずしも税金
を使うかというとそうではなく、企業主導型保育の費用は事業主から
の拠出金で賄うことになる」

 「国民が自分に合った働き方をするようになると、保育需要はさら
に増える。2017年度末までに待機児童を解消しようとしているが、
そこで終わるかはやってみないと分からない」

怒2
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結局、保育所を新設するといっても簡単にはいかず、保育と仕事の両立を
現実的な問題として抱える社員が勤務する企業に頼るのが、手っ取り早く、
かつ確実、というわけです。

ある意味、合理的で、賛意を得やすい。
でも内実は、国や自治体は、ほとんど何もしなくていいので「楽」。
法律で基準緩和し、補助金を出せば済む・・・。
届け出だけでよくなれば、審査などの行政コストも不要になる・・・。

保育施設の受け入れ枠10万人増目標の半分を、この企業主導型保育施設で、
というのですから、公共事業、社会福祉事業の主体を放棄しているようなも
のです。
建設費や運営費のかなりの部分を企業側が負担してくれるのですから、渡
りに船、待機児童に保育所、の政策・・・。

まあ、企業にとっては、それで社員が安心して働くことができるようにな
り、モティベーションも高まるでしょうから、損になることではない・・・。
福利厚生費として経費計上もできますし・・・。
企業によっては、長時間保育に対応した運営も行うでしょうし、私として
は、この基準緩和の一つである、企業勤務者以外の、地域のこどもを預かる
必要がなくなるのではなく、実際には、待機児童化している近隣の子どもを預
かってくれるチャンスが増えることに期待したいのですが・・・。

保育士の数などの基準が緩和されたとしても、企業としては、やはりいい
加減な保育所運営はできませんし、しないでしょうから、利用者としての不
安感も少なくなると思います。

一見、「政府と自治体は、せこい!」と思うのですが、実効性は期待でき
る・・・。

窮余の策でも、企業ならばなんとかしてくれる。
自分たちの会社にとってプラスになることだから・・・。

しかし、塩崎厚労相の談話は、まったく他人事で、虚しく響くだけですね。

保育園

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