「生前葬」からあと何年生きますか?:日経<130万人のピリオド>で見る「終活」模様(11)

2016/2/1から、日経が毎週月曜日の夕刊で
「130万人のピリオド」と題して、終活・人生の最期をテーマに
連載しています。
昨年の年間死者数が130万人を超え、今後も増え続けることが予想される社会。
その連載記事を順に紹介し、終活を考えてみます。

第1回:終のすみか。ホームホスピスも在宅で迎える最期のカタチ 
第2回:増える家族葬や直葬。火葬場待ちが常態化で友引火葬も当たり前
第3回:独居高齢者の孤立死リスクにどう対処するか?
第4回:「手作り葬」「家族葬」「直葬」。DIY終活が見えてきた!
第5回:「終活消費」対象のお墓対策と「おりん」? 
第6回:望む終末期・最期を、家族・医師に伝える文化形成を
第7回:ペット同居可能特養、ペット信託、ペット保険。ペットのための終活対策も
第8回:最期のあり方の選択肢として増える「献体登録」
第9回:増える無縁墓。改葬・墓じまい・共同葬、多様な選択肢と対応法
第10回:介護施設入居に保証人が必要。身元保証契約・身元保証制度問題

今回は、第11回の以下の記事です。

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 11.弔い自ら元気なうちに 家族・仲間へ感謝の場(2016//5/17)
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 生きているうちに自分の葬儀をする「生前葬」。
 人生の最後に向けて準備する終活の一環として、シニア層の間で注目され始めた。
 生涯を早めに振り返り、家族や仲間に感謝を伝える場とするほか、子世代に負担
をかけたくないとの親心も見え隠れする。
 芸能人が企画して話題を呼んだことはあるが、弔いの形が多様化するなか、一般
にも広がりそうだ。

<「生前葬」実況事例>
 4月24日、東京都江東区の清澄庭園内の大正記念館。
元横浜市立東高校教諭の
飯田洋さん(74歳)の生前葬が開かれた。
 監督を務めた同校サッカー部OB会有志が主催。
 香典不要、会費制で服装は自由。
 サッカー部や同校OB、親族など約100人が参列した。

 午後1時に開始。
 本寿院(東京・大田)の三浦尊明住職の読経と法話の後、友人やOBが通常の葬儀
のように「突然のことで残念でなりません」などと弔辞を読んだ。
 その後は食事をしながら懇親会。飯田さんは儀式の間、祭壇の奥から会場を見てお
り、懇親会で登場。
 10カ所のテーブルを回り、「生前はお世話になりました」と冗談ぽくあいさつし、
楽しく話した。

 提案は飯田さん本人。
 30年勤務し、教え子も多い。
 自分よりも若い卒業生の葬儀に行く機会が増え、「思い出がたっぷり詰まった人と
は生前、頭がはっきりしているうちに会っておきたい」との思いが強くなってきた。
 自分の“悪口”を「生きているうちに聞いて楽しみたい」と、ちゃめっけをみせる。

 同校サッカー部は昨年、初めて神奈川県大会の決勝に進出し、今年は全国大会への
出場を狙っている。
「願掛けのために、身をていしたい」と、OB会に生前葬を働きかけた。

 今回の費用は約100万円。
 参加者は「こういう葬儀があってもいい」と話す。
 飯田さん自身は本当に死亡したときには、家族だけの葬儀にするつもりでいる。

パ―ティー3
生前葬が世に知られるきっかけとなったのは1993年、今は故人で女優の、水の江

滝子さん(開催当時77歳)だ。
 その後も芸能人による生前葬が話題になった。
 しかし一般には「生きているのに葬儀だなど、冗談にすることではない」「縁起
でもない」と理解が得られなかった。

<「生前葬」を手掛ける企業例>
 ただ、この数年事情が変わってきた。
 旭川グランドホテルが2010年に「ご縁の会」としてホテルでは初めて実施。
 以来、ホテルなどで家族を集め、宗教儀式の無い食事会形式で開く例が出始めて
いる。

 葬儀社大手の公益社を傘下にもち、生前葬を約10年前から手掛ける燦ホールディ
ングスにも、「会場や運営はどうしたらいいか」などの問い合わせが増えている。
 同社では「寿命が延び、死ぬ前に退職などで『社会的な死』ともいえる喪失体験
をする人が増えている。それならば、いっそ元気なうちに、社会的な関係にけじめ
をつけようと考える人が多いのでは」とみる。

 地域社会や家族関係が大きく変わり、葬儀で家族に負担をかけたくないとする人
たちが増えてきたとの指摘もある。
 ある葬儀会社は「生前葬なら、費用を自身で出し、子どもに経済的な負担をかけ
なくてすむ」と説明する。

 関心の高まりに対応し、異業種も動き始めた。
 旅行大手のクラブツーリズムは26日から、「生前葬のススメ」として終活講座を
始める。
 9月まで計5回実施し、生前葬の最新事情や基本的な知識を解説する。
5、6月の講座には、40~80代の男女13人が申し込んだ。
「生前葬の企画・運営をセットにした商品を今後作りたい」(経営企画部)と商機
をうかがう。

 参列者無しの家族葬や葬儀自体しない人がいるなど、おくり方、おくられ方は変
化している。
 生前葬には、最期まで人生を演出したい今どきシニアの思いもにじむようだ。

葬送
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個人的には、ナンセンス、と感じています。
生前葬を行っても、多分、実際に死ねば、それなりに何かしらの見送りのセレモ
ニーや区切りを行うことになる、と思うからです。

やっておきたいという思いは、理解できるので、それは、感謝のパーティーみた
いなもので、葬送とは似て非なるもの・・・。
「葬送」というよりも「葬騒」、「楽葬」のような・・・。
どちらかというとレジャー、遊びの感覚。
軽いノリゆえの「生前葬」・・・。

その生前葬の後、20年間生きてしまったら?
記事中の飯田さん、20年後は94歳。
まだまだ余命は、かなり長きにわたって・・・。
20年も経てば、生前葬を20年前に済ませているから、もう一度葬式をやる必要は
ない、なんてことにはならないのでは・・・。

生前葬に参加(参列?)してくれた人の方が、先に逝く、なんてことはザラにあり、
これを皮肉というべきか、ジョークと評価すべきか・・・。

しかし、重病などで死期が分かっている場合の、まさに「死前葬」的な生前葬は、
終活の中にありうるかなと感じます。
但し、それは、本人の意志があってのことなのは当然です。

まあ、生き方それぞれ、さまざま・・・。
私自身は、自分の葬式は要らない、やらないで、という方なので、それをしっかり
家族に伝えておくことが終活の課題の一つ。
簡単です。

不謹慎、あるいはそれは無理、と言われるかもしれませんが、死ぬまでには、知人・
友人などとの関係も無くしておき、家族しか、私の死を知らない・・・。
そんな生き方・死に方が理想と考えているのであります。
それも終活の在り方のひとつ、と・・・。

天国1

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