世田谷区は国有地の宝庫か、19年春までに5カ所に保育所:都知事の重い待機児童・高齢者対策責任

前回は、東京都のいくつかの区が、経済特区で、都立公園内にこども保育園や
認定保育所などを開設する動きを取り上げました。
渋谷区、代々木公園に認定こども園:特区で都立公園内に待機児童対策保育園設置の動き広がる

今回は、同様、待機児童対策として、国有地に保育所を開設する動きも見られ
るようになったことを報じた、やはり日経の【子育て 2016】欄の2016/7/13付の
「世田谷区、国有地5カ所に保育所  19年春までに、定員440人拡大」
という記事を紹介します。

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 東京都世田谷区の保坂展人区長は7月12日の記者会見で、2019年4月までに区内の
国有地5カ所を借り上げて保育所を整備し、保育定員数を計440人分増やすと発表。
 保育所に入れない区内の待機児童が4月1日時点で過去最多の1198人となったの
を受け、国有地を活用して待機児童の解消を目指す。

 まず17年春に下馬地区で定員90人の保育施設を開設。
 18年4月には代沢と東玉川で合計の定員数が150人分の保育所を開く。

 岡本と野毛では公務員宿舎跡地を借り上げ、岡本は18年4月に定員100人、野毛は
19年4月に同100人分それぞれ開く予定。

 世田谷区はすでに区内の国有地を使って約1070人分の保育所を開設している。
 保坂区長は会見で「引き続き積極的に国有地で保育所を整備し、待機児童解消に取
り組みたい」と述べた。

 同区は都市部で用地確保が難しい特別養護老人ホーム(特養)についても、国有地
での整備を決めた。

 瀬田地区に定員約140人の特養を19年度に開設する予定だ。

子

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この記事掲載の3日後の2016/7/16付日経には
「品川区、大井競馬場の駐車場内に保育所 来年4月」
という以下の記事が。

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東京都品川区は7月15日、大井競馬場の駐車場内に認可保育所を整備すると発表。
 千趣会チャイルドケアが同競馬場の第3駐車場に定員73人の保育所を建設し、来年
4月から運営を始める。

 同競馬場の近隣は大規模なマンションの建設や国家公務員宿舎の建て替えなどが進
んでいる。
 今後も住民が増える見通しで、保育需要の増大が予想されるため、保育所の新設を
決めた。

 区内の待機児童数は今年4月1日現在で178人。
 区は来年4月までに保育定員を559人増やす計画だ。

競馬
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まあ、矢継ぎ早の保育所開設ニュースで、その気になればできるじゃん、という感じ
ですが、財政に余裕がある都区内だからこそ、ということでもあると思います。

上の方の記事と同じ7月13日に、日経で、東京都知事選を控えて、
【都知事選2016「都政の課題は」】という特集を組み始めました。
その1回目として、鈴木亘学習院大教授への待機児童対策などに関するインタビュー
が、「待機児童、広域で調整を」というタイトルで、以下のようにまとめられていまし
た。
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Q1:東京都内の待機児童数が高止まりしている。

 「東京都はもっと大胆に取り組むべきだが、完全に国の後追いになっている。
 都は2017年度末までの4年間で保育所などの利用児童数を4万人分増やし、待機児童
を解消するとしているが、そんな規模では間に合わない。都は基本的に『区がやってく
ださい』という待ちの姿勢だ。区も腰が引けている」

 「ある区が保育定員を増やして待機児童を減らすと、周辺の区から住民の転入が増え
るので、一体的に待機児童対策を進める仕組みが必要だ。例えば、隣の区から待機児童
が転入した場合は、隣の区に財政負担させるべきだ。都は努力した区に支援をし、そう
でない区への支援を減らすなどのメリハリをつけた方が良い。待機児童問題は広域行政
で取り組むしかない」

Q2:保育所の用地を見つけるのが難しくなっている。

 「都の公園や使っていない都の施設はたくさんある。都が土地を探して区に提案すれ
ばいい。当面は保育所を建てるが、20年後には老人ホームにすると言えば住民の納得が
得られるだろう。保育所増設をすべて区にやらせるのは無理だ。例えば都立代々木公園
は広いのだから、保育所を5カ所くらいつくれる。都が前面に出ないと(保育所の増設
は)進まない」

Q3:老人ホームなどの不足も深刻。

 「これも区市町村に任せていてはだめだ。特別養護老人ホームなどを作ると隣の区か
ら待機している高齢者が流入する。作った分だけ補助金など区の負担が大きくなる」

 「例えば都心の区で特養をたくさん作るのは難しいから、郊外の市に作ってもらうな
ど、広域で調整すれば同じ予算で多く作れる。舛添前知事は25年度末までに特養を6万
人分つくる計画を打ち出したが、見通しが甘い。子どもが地方の親を東京に呼び寄せる
など、高齢者人口の流入もある」

Q4:財政に比較的余裕がある都だからできることも多くありそうだが。

 「都の職員は優秀だが、リスクを取らない。都議会も予算を平等に分配することに
終始している。財政に余裕のある今やらなくて、いつやるのか。予算を組み替えて待っ
たなしの課題に取り組むには知事のリーダーシップが必要だ」

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待機児童・少子高齢化】ミニ解説

 都内の待機児童は2015年4月時点で7814人。
 現在集計中の今年4月現在の待機児童数は昨年より増える見込み。
 子どもを預けられない環境は、少子化の原因でもある。
 一方、65歳以上の「高齢化率」は昨年9月時点で22.9%と過去最高。
 35年には3割に達すると予想される。
 特別養護老人ホームの入所待ちは13年11月時点で約4万3千人に上る。

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世田谷区は、遊休国有地の宝庫みたいな区なんですね。

都立公園内の保育所、と聞くと、いいなあ、と思いますが、競馬場の敷地内に保育所
と聞くと、? とついつい思ってしまいますが、毎日、お馬さんを見ることができる保
育所もユニークでいいかもしれない、って、見れないでしょうけど・・・。

こうして、都区内で保育所開設の情報が次々と出てくると、親御さんたちは別の意味
で焦りますね。
他区への転出を決めた後で、あるいは転出した後で、元の居住地の近くに保育所が出
ることが決まったり、とか・・・。
大変です。

区は区で競い合って、ある意味既存の住民の流出の引き留め、新しい住民の流入期待
など、こちらも大変。
しかし、全体としてみれば、首都圏対地方の構図が見えるわけで、人口の首都圏集中
は簡単には収まらない・・・。

こうなると、地方は地方で、別の意味の、新たな豊かさやゆとりを創出して、それら
に価値を見いだす住民の引き留めと他地域からの流入を誘導する政策・対策を打つしか
ない。
当然、そこには仕事がある、あるいは仕事がしやすい環境があることも条件。
すべての若い世代が首都圏、大都市を目指す時代ではなくなっているので、さほど心
配する必要はないのでは、と私は思っています。

かの東京都知事選。
いろいろ問題はあるにしても、財政基盤があるということだけでも他の自治体に比べ
て大変な優位性を持っています。
東京オリンピック・パラリンピックを迎える知事とか。
それはそれで成功させるプレッシャー、責任もありますが、肝心なのは、ずーっと付
いて回っている、保育所と介護施設問題。
東京消滅を喧伝した方が都知事になることがあると、ものすごい矛盾なんですが、そ
んなこととは関係なく、保育所入所や介護施設入所を求めてさすらう都民を解消するこ
とをしっかりやってからのオリンピックです。

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