社会的規範としての母子家庭・父子家庭の困窮化防止と支援制度の拡充を
都知事選、投票日も迫ってきました。
果たして、女性都知事が誕生するか?
2016/7/19付日経夕刊で【都知事選2016】という特集欄で
「女性活躍、私も 手助け求める母子家庭
家借りにくい/雇用不安定」
と題した記事が掲載されました。
内容的には、都知事選云々とは無関係の、現在とこれからの大きな社会的
課題であるシングルマザー、シングルファーザー世帯の困窮対策に関する
ものです。
そこで、都知事選に関係づけた表現を除いて、以下、転載しました。
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女性活躍社会の実現・・・
家を借りづらい、雇用が不安定・・・
子供を抱えたシングルマザーが直面する現実は厳しい。
5年ほど前、夫のドメスティックバイオレンス(DV)で子供を連れて家を飛び
出し、シェルター(一時避難施設)や母子支援施設に約2年間滞在。
自立のため家を探そうとした矢先、直面したのが社会の厳しい目線だった。
「母子家庭は家賃滞納が心配」などと決めつけられ「物件の下見でもシングルマザー
と分かった途端に断られることもあった」。
何とか住まいを見つけ、パートをしながらキャリアカウンセラーなどの資格を取得。
子育てと両立しようと、勤務時間の短い大学のキャリア支援の事務職に就いたが、
4月末で契約期間が満了になった。
新たな職場を探しているものの「年齢面もあってなかなか見つからない」と悩む。
少ない貯金を取り崩す毎日だ。
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自治体はひとり親家庭に児童扶養手当を支給する。
第1子には最大4万2千円。
今年8月からは第2子への支給額が同5千円から1万円に増額される。
しかし、所得に応じて減額されるうえ、支給年齢も18歳まで。
受給者からは一段の充実を求める声が上がる。
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昨年9月に離婚し、1歳半の娘を育てる練馬区の女性(35歳)は、自身も母子家庭
の出身。
経済的理由で大学進学を諦めた。
「お金がないから学校に行けないという経験を娘にはさせたくない」と願うが「進学
で最もお金がかかる18歳で給付が終わってしまうなんて」と頭を抱える。
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東京都ひとり親家庭福祉協議会の浦沢明事務局長は「対象年齢を広げるなど改善の
余地がある」と児童扶養手当の拡充を訴える。
NPO法人「はぴシェア」の秋田文子理事長は「ひとり親世帯が減少するとは考え
にくく、支援策を充実させなければ貧困世帯が増加する一方だ」と強調。
「ひとり親の法定雇用率を設けたり、非正規雇用でも正社員に近い賃金にしたりして
働きやすい環境を整えた上で、母子支援施設や都営住宅の増設などの施策を進めてほ
しい」と呼びかける。
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<ひとり親世帯、都内で急増 5年で13%増>
国立社会保障・人口問題研究所が2014年4月に公表した将来推計によると、「ひとり
親と子からなる世帯」は全国的に増加が見込まれ、特に都市部で増加が著しい。
推計によると、全国のひとり親世帯は10年の453万5千世帯から、15年には498万
2千世帯と9.9%増加。35年には10年比24.5%増の564万5千世帯に達する見通しだ。
東京都は10年の48万4千世帯から15年は55万2千世帯と13.9%増え、増加率が全国
1位。35年には70万3千世帯になり、10年比の増加率は45.2%に上る見込みだ。
一般世帯に占めるひとり親世帯の割合は、10年は全国で8.7%、東京都で7.6%だが、
35年には全国11.4%、東京都10.6%に増加するという。
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少子高齢化対策としてだけでなく、社会福祉的観点から、シングルマザー、シングル
ファーザー世帯の子と親は、絶対に保護し、支援すべきなのです。
これは、どんな政治・経済体制であろうが、無条件に守り、維持すべき制度です。
◆ひとり親の法定雇用率の設定・導入
◆母子支援施設や公営住宅の増設
これなどは、絶対進めるべき施策と思います。
ただ、この記事中にある大学進学年齢まで、<児童扶養手当>の支給対象に拡充すべ
きか、となると、個人的には ?、です。
大学は義務教育ではありませんし、シングルの家庭でこれを認めれば、一定の世帯収
入以下のすべての世帯の子女にまで対象を広げる必要があります。
この場合の大学進学・修学費用は、今課題となっている返還を必要としない奨学金制
度等の整備・拡充で対応すべき、と考えます。
極論では、浪人である場合でも扶養手当を支給すべきとなってしまう・・・。
ちょっと変です。
(大学のレベルにも問題がありますし。)
あと、今後検討すべきと思うのは、ひとり親家庭になり困窮した場合、その子どもの
養育費や元配偶者への慰謝料などの支払い義務を怠った片親への訴求、その資産・収入
の差し押さえなどの公的な強制力を法制化・強化することです。
(訴求・回収コストも加算して。)
そこで得たお金は、国庫に納め、シングル家庭への給付資金に供し財源化します。
子どものいる片親家庭が生じ、増えるのは、已むを得ないと社会が認める時代です。
ただ、そのことで社会的弱者化し、貧困化が広がることは、社会が阻止すべき時代
でもあります。
子どもになんの責任もなく、彼らは、無条件で、成長し、成人し自立することが可
能な、一般的な年齢になるまでは、社会的支援を受け得る権利を持つ・・・。
法で規制・規定するまでもなく、社会的規範としてすべての人が認識し、共有する。
そういう人間社会であるべき、ありたいと願います。
(もちろん、現実としては、法の力に頼ることになりますが・・・)