本当に生きたお金の使い方か<給付金>:消費向けでなく資産・資源投資に

2016/7/16 付日経に
「給付金、支給条件を確認 新婚夫婦・ひとり親向け拡充」
という、知らないと不利益を被るというニュアンスの内容の記事がありました。
以下、紹介します。

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政府が所得の低いお年寄りや子育て世代にお金を配る給付金を相次いで
新設・拡充している。
 それぞれの制度で支給条件などが異なるが、もし自分が対象者になって
いる場合は市町村に申請しない手はない。
 安倍政権は一億総活躍社会の実現に向け、これらを用意したが、あまり
知られていない制度もある。
 代表的な給付金の内容や手続きの仕方、注意点などをまとめてみた。

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給付金解説

◆「高齢者向け給付金」:年金生活者等支援臨時福祉給付金
 今年度に3万円を1度だけ支給するのが年金生活者等支援臨時福祉給付金
(高齢者
向け給付金)。
 対象は住民税が非課税で、かつ1952年(昭和27年)4月1日以前に生まれた人
 住民税が非課税となる目安は東京23区に住んでいる給与所得者の場合、単身で収入
100万円、夫婦で同156万円となっている。給付対象の高齢者は全国に1100万人いる。

 政府は一億総活躍社会の実現に向け、景気回復による賃金上昇の恩恵が及びにくい
所得の少ない高齢者の所得全体を底上げすることを狙う。
 人気取りや「ばらまき」という批判はあるが、個人消費を下支えする効果はあると
みられる

(市区町村に申請)
 実際に給付金を受け取るには、高齢者が自治体に申請する必要がある。
 申請後に銀行口座に振り込まれる仕組み。
 申請の受け付けはすべての市町村で始まっている。
 これまでの給付金に比べ支給額が多いこともあり、高齢者からの申請が速いペース
で進んでいるという。
 申請先は昨年1月1日時点で住民票があった市区町村。
 申し込みの期限を7月末や8月中としている地方自治体が多い。
 厚生労働省の給付金専用ダイヤル(電話0570-037-192)で市町村ごとの申請期間
などを教えてくれる。
対象者でまだ申請していない人は急いでチェックした方が良い
老人手
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◆ 「結婚新生活支援事業費補助金」
(収入により増減)
 新婚夫婦を支える補助金もできた。
新制度は「結婚新生活支援事業費補助金」で、
政府の結婚支援策の柱。
 夫婦の1年間の合計所得が300万円未満の世帯を対象に、結婚に伴う住居費や引っ越
し費用などを最大18万円支給する。

 注意点はすべての市町村が実施しているわけではないという点。
 必要な財源は国と自治体で負担する仕組みで、自らも資金を出す市町村に国が補助金
を渡す
 4月1日以降に結婚した新婚カップルが給付の対象だが、自分が住んでいる自治体が
支給してくれるかどうかは市町村などに問い合わせた方が良いだろう。

 内閣府によると、申請を受け付けている自治体は福島県いわき市や愛知県豊橋市など
全国に約100ある。
 結婚したばかりで生活費に余裕のない若い夫婦などにはありがたい存在だ。

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<ひとり親世帯の児童扶養手当加算支給>

所得の低いひとり親世帯を支援する仕組みも拡充になる。

 離婚や死亡などによってひとり親となった家庭の生活を支援するため、一定額を支給
する児童扶養手当の第2子以降の加算額が増える
 改正法が今年8月に施行になり、12月に支給される8~11月分から適用になる。
 第2子は最大1万円、第3子以降は最大6千円の加算となる。

 支給額の引き上げは2人目が1980年以来、3人目以降は94年以来となる。
 同手当は原則として子どもが18歳になった年度中まで支給される

 手当の金額は収入によって変わる。
 満額支給は子どもが3人いる世帯の場合で年収227万円未満。年収が高いと手当が徐々
に減額になり、460万円を上回る場合は支給されない。

 厚生労働省によると、手当を受け取っている約106万世帯のうち約43万世帯が増額の
対象になる。
 子ども2人が約33万世帯、3人以上が約10万世帯ある。
 第1子への支給額は最大4万2330円で変わらない

 市町村で手続きができるので、不明な点があれば問い合わせてみた方が良い。
 児童扶養手当は4カ月に1回の支給である点は注意すべきだ。

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 安倍晋三首相は今月内にデフレ脱却に向けた経済対策をまとめ、第2次補正予算の
編成を指示する方針。
 インフラ整備や中小企業の資金繰り対策などと並んで、一億総活躍社会の実現に向
けた政策も含まれる可能性が高い。
 政府・与党の今後の動きも押さえておいた方が良いだろう。

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 「高齢者向け給付金」は、既に支給が行われています。
 対象者が1100万人でひとり3万円。
 ということは3300億円規模のバラマキです。
「個人消費を下支えする効果はある」などと本気で思っているのでしょうか。
そうならば、感覚がまったくズレています。
もらった金を、まったく予定していなかったモノやコトに、日常の消費とは別に使
うのなら、そう言えないこともない・・・。
しかし、大半は、日常の消費、その給付金をもらわなくて使う商品やサービスに使
うでしょうし、一部の人は、使わずに大事に貯金するでしょう。
だから、消費の下支えや消費拡大にはつながらない・・・。

ちょうど、参院選の勝利を受けて、政府は、祝勝お礼を兼ねてか、補正予算で、来
年度の支給になりますが、この「高齢者向け給付金」を、対象者約2200万人の低所得
者に、ひとり1万5000円支給することを決めたことが、報じられたばかりです。
その総額は、今年と同額の3300億円。
事務経費を含めると、3500億とか3700億とか言われています。

これだけのカネをばら撒いて、それでおしまい。
まさにヘリコプター・マネーです。

ヘリ2

これだけのカネ。
保育施設や介護施設、あるいは低所得者向けの住宅などの建設に、投じた方がよほ
どいい。
2年間分合わせれば、事務経費を入れると7000億円規模になります。
単なる公共事業としてではなく、社会福祉のインフラ整備・拡充投資として、資産・
資源になるわけです。
消費ではない!
雇用も生まれます。

「結婚新生活支援事業費補助金」の方も、全部も自治体が実施するわけではないで
すし、1回使っておしまい、ですから、公平性・持続性に欠ける政策。

唯一評価できるのが、ひとり親世帯への児童扶養手当の加算です。
これは18歳まで支給されますから、意味・意義があります。

この関連で、ちょうど前日
社会的規範としての母子家庭・父子家庭の困窮化防止と支援制度の拡充を
で触れたところです。

いずれにしても、消費増税を再延期してのこのバラマキ、ポピュリズム政策。
金をばら撒く人はいい気分でしょうが、問題・課題の根本的本質的改善・解決には
なりません。
税と社会保障の一体改革、どこへ行ったのでしょう・・・。
困った政治です。
まさに、政治と政治家、官僚・行政は劣化しています。

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