女性が地元に定着しない、外に出て戻らない理由に無頓着な地方の明日

日経の【かれんとスコープ】というコラム。
2016/7/17 は
「地方がおびえる女性流出。因習が重荷、打破へ一歩」
というテーマで、地方からの女性の流出を取り上げていました。
以下、紹介します。

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地方が悩む人口流出。
 実は女性が大きな影響を与えている。
 経済的に豊かな地方でさえ、女性を引き留められず危機感は募る。
 女性が定着しない本当の原因はどこにあるのだろう。

<高収入でも女性が流出する長野県川上村>
夏でも涼しい風が吹く長野県の川上村は、日本有数の高原レタスの産地として
知られる。1戸当たりの年間販売額はおよそ3千万円と高く「レタス御殿」と呼
ばれる豪邸が
立ち並ぶ。
 それでも藤原忠彦村長は悩んでいた。「レタスの生産量は増えるけど、人口はどん
どん減っていく」

 村の人口はここ10年で600人減り約4000人になった。
 結婚していない男性や、外に出て戻らない女性が増えた。
 じゃあ、お嫁さんに来てもらおう。
 村は結婚支援会社に相談したが、返ってきたのはこんな言葉だった。
「女性は暮らしやすいですか?」

 「嫁に来てから息を殺して生きてきた」。
 村の30代の女性はこう打ち明ける。
 おしゃれをしたり、新しいことをしたりすると、周囲から後ろ指をさされる。
 「子育て以外するな」という雰囲気を感じてきた。
 20代の男性も「好きな人を村に連れてきたくない」と漏らす。
 レタスが生み出す富をも打ち消すような重い空気が村に漂っていた。

 男性中心の文化を変えないと――。
 川上村は村の「文化改革」に立ち上がった。
 結婚支援のパートナーエージェントなど民間の力を借り、女性がビジネスのアイデア
を出すことを奨励する。
 家事をシェアする仕組みもつくり、女性が「嫁」ではなく一個人として能力を生か
せる未来を探っていく。

レタス畑川上村
※記事掲載の画像を転載させて頂きました。

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女性の流出に悩む地方は増えている。
 国立社会保障・人口問題研究所の林玲子部長の分析では、2000年以降、若い女性の
割合は地方より都市の方が高くなった。
 高度経済成長期には、若い男性が「金の卵」として地方から都市に流入した。
 しかし高学歴化などで、徐々に女性の移動が増加。
 女性は男性より地方に戻る人が少なく、都市部に集中し続けている。

 なぜ若い女性は地方から離れるのか。
 経済的な理由だけでなく、地方の古いしきたりなどが定着を阻害している可能性が
ある。
林部長の分析によると、議員や管理職の男女比率などを考慮した「ジェンダー指数
でみた場合、男女の平等度が高い地域ほど女性がとどまる傾向にあった。

女性流出状況
※記事掲載の資料を転載させて頂きました。

<少子化対策モデル県・福井県でも厳しい現実>
 「少子化対策のモデル」とされる福井県でさえ、厳しい現実に直面する。
 福井は3世代同居や共働き、出生率が高く子育てしやすい県として注目されてきた
 しかし、女性が大学卒業後に地元に戻るUターン率は、10年前の4割から今は2割
に減った。
 危機感を持ち、東京大学の大沢真理教授と共同で調査すると、様々な面で女性の
負担が重い現実が浮き彫りとなった。

 福井県は働く女性が多いのに女性管理職の比率は全国で最も低いグループに入る。
 共働きでも家事の負担は女性が重く、妻の余暇時間は全国で最も短かった。
 大沢教授は「女性の生き方の選択肢が増える中で、魅力的な仕事や環境がなければ、
福井モデルは持続しない」と警鐘を鳴らす。
 調査を受け、福井県は家事の検定制度をつくるなど男性の家事参加に力を入れている。

母子1 

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若い女性が流出する地域の未来は厳しい。
 民間有識者でつくる日本創成会議は、全国約1800の市区町村のうち半分が、
出産適齢期である20~39歳の女性の減少で2040年には消滅すると予測した。

 東京23区で唯一、消滅するとされた豊島区も今春「女性にやさしいまちづくり課」
を新設。民間から登用された宮田麻子担当課長は「出生率より暮らしやすさの向上
に注力
したい」と話す。

 人口減少への対策として出産・育児や結婚移住に予算を充てる自治体は多い
 でもお金より大切なのは、女性が性別による役割にとらわれず暮らしやすい社会を
創ること。そう気づいた地域が少しずつ増えている。

母乳2

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【ネットをのぞくと:若者につのる田舎への不満】

ツイッター上では「都会の婚活・出会いイベントだと今は女性枠があっという間に
埋まるらしいんだけど、田舎になればなるほど男女差が逆転するのね。男性枠がすぐ
埋まって女子がほぼゼロ」と女性が都市にとどまっている状況を指す声があった。

 若者からは「田舎はお年寄りが圧倒的に発言権と行使力と票を持ってる。何言っても
『若いなあ』って、ほほ笑まれるだけ」という不満も。
 今後は「若い人や移住者を粗末に扱ったり年寄りや役場が望むことをごり押ししたり
して、若手が去っていくところと(そうでないところに)わかれるのでは」との指摘
もあった。
調査はNTTコムオンラインの協力による)

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 「女性が性別による役割にとらわれず暮らしやすい社会」という括り方には、少し
違和感を感じます。
 どうして「性別」ということを軸にして考えるのか・・・。
何かにつけて「ジェンダー」の問題とすることには疑問を持ちます。

 シンプルに、生きがい、働き甲斐という視点で考えれば、それは、女性だけでなく、
性別・性差にかかわらず、若者、若い世代として、と捉えるべき課題であるように思
えます。

 例えばそれが、農業が中心の地域社会であったとすると、高齢者が就業者の大半を
締め、若い世代の出る幕がない、不自由な、先に希望が持ちにくい雰囲気・風土にな
ってしまうのは、想像がつきます。
 ちょうど、以下のデータなどは、そうした状況を沸々と感じさせ、納得せざるをえ
ないと思わせます。

就業者年齢別データ

なんと農業従事者のうち、49歳以下が10%、10人に1人しかいない。
 40歳未満となると、あまりにも少なくて、データ的にショックなためにあえて、
50歳未満で一括りにしているかも、と・・・。

 まあしかし、そうした高齢者社会を変革するには、高齢者自ら変わることを求め
ても無理というものでしょう。
 最も重要な条件は、若者に魅力がある仕事があるか、生きがいを感じ、働き甲斐
や自分を活かすことができるチャンスを与えてくれる仕事があるか、です。

 それをつくるのは、決して高齢者だけの責任というわけではなく、若者自身を含
め全体が担うべき役割なのです。
自治体・行政に全責任をなすりつけるのも本末転倒というもの。

こうした甘えと(高齢者の)威張りの精神構造を持つ社会の構造改革をどう進め
るか。
紋切型ですが、それぞれの世代に変革と創造のリーダーが必要なのですが、なか
なか出てこないことに、根本的な原因があると感じます。
もちろん、女性のリーダー不足という現実も、確実に存在するのです。
与えられること、理解されることを待つだけなのか、自ら、得ること、持つことに
努めようとするか・・・。

こうした課題も、これからの10年間の最重要課題である「一億総モラトリアム社会」
からの脱却のためのひとつの要素と考えます。
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