終活人気のパワスポ。ぴんころ地蔵尊、ぼけ封じの安倍文殊院・おふさ観音、ぽっくり寺の吉田寺:日経<130万人のピリオド>で見る「終活」模様(16)
2016/2/1から日経が月曜夕刊で連載の、終活・人生の最期がテーマの
「130万人のピリオド」から考えます。
第1回:終のすみか。ホームホスピスも在宅で迎える最期のカタチ
第2回:増える家族葬や直葬。火葬場待ちが常態化で友引火葬も当たり前
第3回:独居高齢者の孤立死リスクにどう対処するか?
第4回:「手作り葬」「家族葬」「直葬」。DIY終活が見えてきた!
第5回:「終活消費」対象のお墓対策と「おりん」?
第6回:望む終末期・最期を、家族・医師に伝える文化形成を
第7回:ペット同居可能特養、ペット信託、ペット保険。ペットのための終活対策も
第8回:最期のあり方の選択肢として増える「献体登録」
第9回:増える無縁墓。改葬・墓じまい・共同葬、多様な選択肢と対応法
第10回:介護施設入居に保証人が必要。身元保証契約・身元保証制度問題
第11回:「生前葬」からあと何年生きますか?
第12回:訪問看護による在宅死。ホスピスは広がるか
第13回:ピンピンころりか老衰が高齢者の理想の死!?
第14回:「無理に生きさせるのは無用」の死生観、生き方の時代へ!
第15回:高齢者の孤独死防止に、地域や社会との交流は絶対必要ですか?
今回は、第16回の以下の記事です。
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16.理想は最期まで健康。誰もが願う「ピンピンコロリ」、高齢者、パワースポット巡り(2016/8/2)
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病に伏せることなく、亡くなる直前まで元気で過ごしたい。誰もが願う逝き方だ。
理想の最期をかなえるために「ピンピンコロリ」の御利益がある全国各地のパワー
スポットが、高齢者の人気を集めている。
長患いによる苦しみから逃れたいだけでなく、家族ら身内に迷惑をかけまいとする
気遣いもうかがえる。
日本人の平均寿命は男女とも80歳を超え、世界でも有数の長寿国。
天寿を全うするまで元気で健康に過ごす高齢者は限られる。
食べ物や体力づくりに気をつけても将来は分からない。
そこでピンピンコロリを神仏に願う。
終活で人気を浴びるパワースポットをチェック!
<ぴんころ地蔵尊(佐久市)>
「毎月1度は必ず拝みに来るよ」。
長野県の山本邦夫さん(71歳)は笑顔で話し、ぴんころ地蔵尊(長野県佐久市)の前
で手を合わせた。
数年前から友人と2人で始めた習慣だ。妻と2人の子どもと4人暮らし。
年相応に耳は遠くなったが、それ以外は特に悪いところもない。
「でも、70歳を超えるといつどうなるか自分でも分からない。できれば妻や子どもに
迷惑をかけずに死にたい」と言葉をつなぐ。
日本一平均寿命が長い長野県。
その中でも佐久市はトップクラスの長寿を誇る。
ぴんころ地蔵尊はその御利益を多くの人と分かち合おうと、地元商店街有志が2003年
に建立した。
昨年の参拝者は過去最多の約15万人に上った。
有志の一人、市川章人さん(66歳)は「つくるときに仲間と冗談半分で『年間5万人』
の目標を立てた。今は全国から高齢者がやってくる。まさかここまで人気を呼ぶとは。
我々の方がビックリしている」と話す。
お地蔵さんは朗らかな笑顔で高齢者を出迎える。
群馬県から来たという80代の4人グループは「この年になるとあちこちガタがくる。
健康なのは口だけ」「やっぱりピンピンコロリがいいね」と楽しそうに語り合う。
<ぼけ封じの安倍文殊院(桜井市)>
安倍文殊院(奈良県桜井市)は「ぼけ封じ」の御利益で知られる。
本尊の文殊菩薩は知恵を授ける仏様。
そこから派生して1984年に、ぼけ封じ祈願を始めた。
植田俊応貫首は「『せっかく長生きするなら、ぼけずに長生きしたい』といった参拝
者の声に応えた」と説明する。
645年創建という日本でも有数の古刹。
もともと参拝者は多かったが、今は認知症予防のために多くの高齢者がやってくる。
<ぽっくり寺・吉田寺(斑鳩町)>
吉田寺(奈良県斑鳩町)は通称「ぽっくり寺」。
仏教書「往生要集」をまとめた恵心僧都(源信)が、987年に創建した。
病に伏せた老母に源信が浄衣を着せると、老母は苦しみもなく安らかに臨終したとい
う伝説が残る。これにあやかり、安楽往生の御利益があると古くからいわれている。
<クラブツーリーズムのパワースポットツアー>
奈良県内では、諸々の病気を取り除く「おふさ観音」(橿原市)も人気スポット。
旅行ツアーを企画・運営するクラブツーリーズムは吉田寺と安倍文殊院、おふさ観音
を1日で回るバスツアーを大阪発着で実施している。
昨年は年20回の運行だったが、今年は年30回に増やす。
「終活ブームなどを追い風に参加希望者が一段と増えた」。
吉田寺の山中真悦住職はこの寺で生まれ育ち、参拝者を長年見てきた。
「昔に比べれば医療技術が進歩し、仏様にすがろうと切なる信仰心を示す参拝者は減
ってきた。家族や仲間と気軽に参拝する姿が目立つ」と話す。
半面、少子高齢社会の厳しい側面も垣間見る。
「親を見取った後、自分の行く末を心配する独身者。老親介護でつらい経験をしたの
で我が子には同じ思いをさせたくないと強く願う人。『ポックリ死にたい』は人間の
普遍的な願いなのだろう」と山中住職は指摘する。
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<家庭や社会で役割 前向きな心、維持を>
厚生労働省は日常生活に制限がない期間を健康寿命と定義し、算出している。
2013年の健康寿命は男性71.2歳、女性74.2歳。
平均寿命との差をみると男性は約9年、女性は約12年、何らかの不調を抱えながら
最晩年を送っている状況だ。
最期まで元気に過ごすには体力づくりが欠かせない。
ただ「病は気から」といわれるように心の持ちようも重要だ。
東京都健康長寿医療センター・高齢者健康増進事業支援室の大渕修一研究部長らの
研究によると、「(自分は)健康ではない」と思っている高齢者は「とても健康だ」
とする高齢者と比べて要介護の発生確率が約70倍も高くなるという。
「同程度の衰えであってもそれをどうとらえるか、個人の主観が心身の健康を左右
する。地域や家庭で役割を持ち、日々に張り合いを持って過ごすこともピンピンコロリ
につながる」と大渕氏は助言する。
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私も理想とするPPK、ピンピンころり。
しかし、レジャーでそういうスポットを訪ねてみたいというところまではいかない、
です。
やはり、こういう時間を持つことができるのは幸せなこと。
介護を受ける生活とはまったく違います。
今、右脚大腿骨頸部骨折で、リハビリ入院生活ももう3ヶ月目に入っています。
この回復期病棟には、リハビリに励みつつ、介助・看護を受ける要介護状況にある高
齢者がたくさん入院しています。
中には、今どうしてここにいるのか、毎日、理学療法士や看護師、ヘルパーさんに同
じ質問をしている90歳の男性もいます。
健康であることの大切さ、価値。
つくづく感じます。
究極の終活は、ピンピンころりで逝くことができるように健康を維持し、極力介護の
お世話にならずに、生き切ること、と言えましょうか。
難しいことでしょうが、そうした気持ちを強く持ち続けることは何とかやっていきた
い。そう思います。