一人親の生活・子育て・仕事等の相談、窓口一つに

ひとり親、シングルマザーの問題とその政策について、日経は比較的よく
取り上げているかと思います。

最近では、
シングルマザーを積極的に採用し、戦力化を進める企業事例:日経<ひとり親一歩踏み出す>から(1)(2016/8/10)
住宅問題を同時解決するひとり親移住支援制度:日経<ひとり親一歩踏み出す>から(2)(2016/8/11)
社会的規範としての母子家庭・父子家庭の困窮化防止と支援制度の拡充を (2016/7/28)
などで紹介し、考えています。

今回は、それらで述べた課題へ対策例と言える、東京都区単位でのシングル
マザー(ファーザー)政策に関するレポートを、2016/10/12付日経首都圏版
から、以下紹介します。

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 一人親の相談、窓口一つに 練馬区、来年4月係新設 
 家計や子育てなど、休日も対応
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◆練馬区:
同区は、一人親の家庭に対する支援を充実させる。

 来年4月に担当係を新設し、家計や子育て、就労などに関する相談を1カ
所で受け付ける。
 一人親の家庭は経済的に苦しい場合が多いため、さまざまな問題を一括し
て支援する体制が必要と判断した。

 区が今年4月から5月に、区内の約6000の一人親家庭を調査したところ、
公的な窓口に相談したことがない人が51.4%を占めた。
 区の支援策の内容も「1つも知らなかった」という家庭が28%に上り、
必要とする人に支援が届いていない現状が分かった。

 同区ではこれまで、就労や住まいなど相談内容によって担当部署が分かれ
ており、複数の悩みを抱えた人が利用しにくかった
 このため一元的に相談を受け付ける「ひとり親家庭支援係」(仮称)を新設
 キャリアカウンセラーやファイナンシャルプランナーなどの専門家を配置。
 土日祝日でも対応する体制を整える

 家計や人生設計の相談を受けるほか、仲介業者と連携して手ごろな賃貸住宅
などの紹介を検討。
 資格の取得支援や、ハローワークと協力して安定的な職を見つける手助けも
する。

 区の調査では、一人親の子が不登校になる割合は、区平均の3倍に上る
 このため、子育て支援も強化。同じ悩みを抱える親同士のネットワークを
作ってもらい、子どもの学習や子育ての相談を受け付ける。

 他の自治体でも支援拡充の動きが広がっている。

◆足立区:
7月から、月2回、親同士が交流できる場「サロン豆の木」を設け
ている。
 一人親にとって、同じ境遇の人が集まる場は多くない。
 毎回、資格取得や子育て、保育所の申し込み、ヨガなどテーマを変えて情報
を交換。「おしゃべり目的でもOK」と呼びかけている。

◆板橋区:
10月から、婚姻歴のない一人親家庭を対象に、保育所や幼稚園の
利用料など
の負担を減らしている

配偶者と死別や離婚した人の家庭では所得税などが軽くなる寡婦(寡夫)
控除がある一方、婚姻歴がない人には適用されず、税額で決まる料金の負担が
大きくなる場合があった。
 このため婚姻歴のない一人親に控除をみなし適用する。

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※記事中の資料をそのまま転載させて頂きました。

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この取り組み。
全面的に賛成・支持します。
そして、全国のすべての自治体が同様に取り組むことも望みたい。
その中で、特に住宅政策については、公費の投入による支援制度を整備・
拡充してほしい。
またシングルマザー、シングルファーザーを雇用する企業には、優遇策を
提供してほしい。これまで、提起していることです。

少子化対策として、まずイメージするのが、結婚しない非婚・未婚を選択
する人、やむなくそういう状態・状況になっている人々が増えていることを
問題視すること。

次いで、結婚しても、経済的理由や将来への不安などにより、子どもを持
つこと自体を躊躇する夫婦や、二人目の子どもを持つことをためらう世帯が
多い現状。

それももちろん重要な問題ですが、その前に、今、この世に生を受け、生
きる権利を持つ子どもたちが、その親の事情、世帯環境などにより、生活そ
のものが不安であったり、保育や教育を普通に受けることが困難であったり
することへの対策・政策が、先行して重視されるべきと考えます。

少子化対策には、この母子家庭・父子家庭支援政策も絶対に含むべきなの
です。

特に日本においては、離婚して子どもを養育する負担を負う女性の仕事、
生活を支援する社会システム、法制などインフラが、文化・風土と共に非常
に脆弱であることが、北欧諸国などと比較して語られることが多いのです。

しかし、その割には、国レベル、自治体レベルでの取り組みは、遅く、不
十分なままで、なかなか改善されることがありません。

いわゆる世代間の不平等・不公平性の問題の一つでもあるのですが、コト
が母子2代にわたってのことですから、もっと迅速に取り組みと実績が具体
化されるべきなのですが、世代構成人数の多少で、若い世代は、多勢に無勢
で、非常に無力な存在となってしまっている・・・。

多勢の高齢者世代は、実は冷酷で?、御身大切と、既得権を守ることが行
動選択の基準にし、これからの世代への愛情を政治・行政で具体化できるよ
うに示すことが感じられません。

半分以上の人口を占める女性がいるのに、こうした政治・行政が着実に進
められていかないのが不思議でなりません。
実は、女性も冷たいのか・・・?

来月から少し前の出版ですが『シングルマザーの貧困』(水無田気流氏著
2014/11/20刊)を用いて、この問題提起をしていきたいと考えています。

 

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