不妊治療、事実婚も助成へ:厚労省の政策改正を、シングルマザー世帯保護、少子化対策の起点に

10月下旬から、不妊治療支援に関する最近の記事を紹介しています。
初回は
体外受精で、2014年最多の4万7000人誕生。新生児の21人に1人:不妊治療支援、最近の動向から(1)
と昨年の体外受精の利用度と出産数を確認。

2回目と3回目は、2016/10/18と同19、両日、日経で取り上げられた「不妊治療サポート」
という記事から
不妊治療サポート(上)不妊治療に初の民間保険:不妊治療支援、最近の動向から(2)
不妊治療サポート(下)増える、国の助成金制度や自治体の独自上乗せ制の活用:不妊治療支援、最近の動向から(3)
と、社会的な不妊治療への理解と支援が進みつつある現状を紹介。

そして4回目の今日は、これまでの国の政策には見られなかった、喜ばしい
厚労省の政策改正を報じた、以下の、2016/10/30付日経記事を紹介します。

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 不妊治療、事実婚も助成 厚労省
 年度内にも要件改正 仕事との両立も支援
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 厚生労働省は早ければ2016年度中に、婚姻関係にない事実婚のカップルに対し、
一定の年収制限の下で不妊治療費用の一部助成を始める
 現行は法律上結婚していないと助成してもらえないが、法律婚の縛りをなくす。
 不妊治療と仕事の両立を後押しする対策も検討する。
 多様化が進むカップルの形態に合わせて不妊治療支援のあり方を見直す


※記事中の資料を転載させて頂きました。

 今年度中にも助成金の支給要件を改正。
現行の助成金は女性が43歳未満の夫婦」など一定の要件を満たせば1回の治
療ごとに受け取れる。

 助成額は初回が30万円、2回目以降は15万円で6回まで受けられる。
男性の治療も対象で一部の自治体は助成金に上乗せして補助している。
近年は助成件数が増加傾向にあり、14年度には15万2000件強に上った。

 新制度では助成金の要件から「結婚していること」をなくし、事実婚のカップル
でも同じ金額を受け取れるようにする
法律婚の場合と同じ年収制限を適用し、男女合算の所得が年730万円未満のカッ
プルが支給の対象だ。

 不妊治療を望むカップルがどれくらいいるかは不明で、同省は実態把握のための
調査に乗り出している。
 申請の状況などをみながら一般会計で予算措置を講じる。

 こうした事実婚への支援拡大に続き、厚労省は17年度に不妊治療と仕事の両立を
後押しするための対策も検討する。
 日本では職場には言わずに不妊治療を続ける人が相当数いるとみられ、仕事と
両立できずに離職するケースもある

 厚労省はまず来年度に不妊治療に対する企業の取り組みなどを調査する。
 この結果を踏まえ、不妊治療者への配慮など企業が順守すべきガイドライン(指針)
を作成したり、雇用保険の特別会計を財源とする国の新たな助成金を創設すると
いった具体案を検討する。

 不妊治療は1回に約30万~40万円かかるといわれ、1度で終わる人もいれば子ど
もができるまで何回も続ける人もいる。
 治療を受ける本人にとっては経済的な負担だけでなく、精神的な重荷になってい
ることも多く、支援強化を求める声があがっている。

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事実婚とは?
 法律上結婚していなくても婚姻の意思を持って共同生活をしている男女がいる世帯。
 正確な事実婚の世帯数は不明だが、国勢調査によると、親族でない異性と同居して
いる20歳以上の人口は2010年時点で約60万人に上る。
 事実婚だと認定されると、年金など社会保障給付や事実婚を解消するときの財産分与
などは事実婚の配偶者に認められるケースがある。
 事実婚夫婦の間で生まれた子どもは法律上、非嫡出子扱いになり、父の認定や裁判所
の許可がない限り母方の戸籍に入る。

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不妊治療への助成金としての雇用保険の適用は、育児休業制度、介護休業制度にお
ける休業補償として同保険から拠出している方式と同様です。

何より特筆すべきは、社会福祉政策の領域で、「事実婚」を認めて制度運用するこ
と。

これは、法律婚に拠らずとも事実婚により産まれた子どもにも、保育・医療・教育
などの社会福祉・社会保障領域で、同様に保護・支援する道筋ができたことを意味
します。
当然、戸籍上の嫡出子、非嫡出子の差別化の廃止にもつながる政策転換の起点にも
なる可能性を持ちます。

より拡大するならば、未婚の母、離婚後のシングルマザーとその子どもの保護・支
援を制度的に認める方向制をも示すものとも言えます。

それらが順次認められるようになれば、素晴らしいことで、これこそ少子化政策に
有効な決定と評価されるでしょう。

果たして厚労省や政府が、その先まで考えているかどうか、まだ分かりません。
しかし、そうあって欲しいと思います。
社会福祉・社会保障の根本的な構造改革のきっかけとなりうる重要な制度改定にな
るのですから。

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