待機児童増、保育所増で前期比18.3%増収。事業規模が小さい実態も:『第34回 サービス業総合調査』から(4)

11月2日に発表された、日経MJの『第34回 サービス業総合調査』。
先日、このブログで<結婚式場・手配>業界を紹介。
◆「なし婚」増で、結婚式場売上高0.2%増止まり: 日経MJ「第34回 総合サービス業調査」から(1)
次いで、ブログサイト<介護相談.net>で、介護業界の2つのジャンルで以下を紹介。
人手不足の介護業界。在宅(訪問)福祉サービス業にも淘汰の波 :日経MJ『第34回 サービス業総合調査』から(2)
年金受給レベルで生活可能な介護施設を!有料老人ホーム業界の使命と期待 :『第34回 サービス業総合調査』から(3)

今回は、当ブログに戻り、<保育>ジャンルのランキングとその概括レポートです。

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 『第34回 サービス業総合調査』:保育サービス
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<売上高ランキングベスト17>

***** 社  名      部門売上高(百万円) 前年比/伸び率(%)

1位 JPホールディングス(アスク)  20,552 15.0
2位 こどもの森            12,139 16.6
3位 サクセスホールディングス     11,716 15.9
4位 ポピンズ             10,221 20.5
5位 アイグラン             7,576 44.4
6位 ピジョン              6.757 0.5
7位 アートチャイルドケア        6,146 18.5
8位 小学館集英社プロダクション     5,720 2.9
9位 テノ.コーポレーション       3,571 -
(ほっぺるランド)
10位 ニチイ学館(ニチイキッズ)    3,383 51.8
11位 コビーアンドアソシエイツ 2,800 16.7
12位 ライフサポート(ゆらりん)    2,529 -
13位 学研ココファン・ナーサリー    2,003 38.4
14位 トットメイト           1,922 11.0
15位 明日香              1,222 22.3
16位 アソシエ・インターナショナル   1,126 22.0
17位 京進HOPPA、ビーフェア)    980 132.8

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 業界動向概括:待機児童増え需要高まる
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 保育サービスの売上高は(前年比)18.3%増だった。
 伸び率は前回の調査を3.2ポイント上回った。
 全国の待機児童数が2年連続増え、都心部を中心に需要は高まる一方だ。

 保育所「アスク」を運営するJPホールディングスは15.0%の増収だった。
 高まるニーズに応えるためには保育士の確保が欠かせない。
 賃金の改善や離職した社員の復帰支援に注力している。

 20.5%増だったポピンズは従来の認可保育所にとどまらず、関西国際空港で事業所内
保育所を拡大している。
 保育士の採用強化のため2017年3月までに入社する職員に支度金を10万円与える。

 中堅勢も大きく伸びた。
 関西を地盤とする学習塾の京進(京都市)は132.8%増。
 九州地盤のアピカル(福岡市)も58.6%増と大幅に伸びた。

 保育所に入れない全国の待機児童は4月時点で2万3553人と、2年連続で前年を上回った。
 厚労省と内閣府は17年度末までの5年間で保育の受け皿を50万人分増やし、待機児童を
ゼロにする計画。
 保育所新設の機運は高まっているが、保育士不足が各事業者にとって当面のネックにな
りそうだ。

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上記の概況とは別に、同紙1面には、こんな記事も掲載されました。

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「さあ、東京駅が見えてきましたよ!」
 東京・丸の内のオフィス街。
 背広姿のサラリーマンに混じって、1~2歳児が保育士に手を引かれて練り歩く。
 「ポピンズナーサリースクール丸の内」の園児にとって、オフィス街が定番の散歩道。

 都心部ではこんな光景が当たり前になりつつある。
 女性が仕事と子育てを両立しやすくなるよう、企業が社員の子どもを対象として近隣
に設置する「事業所内保育所」が急拡大しており、民間が携わる例は増えている。

 背景には、地域に根ざした認可保育所だけでは親の要望に対応できなくなってきたこ
とがある。
 「送迎が楽で、しかも子どもに何かあった際にすぐ駆けつけられるので気持ち的に楽」。
 利用している母親たちの評判もいい。
 厚労省によると15年時点で約7万4000人の子どもが事業所内保育所を利用するように
なった。

 内閣府は今年4月から、事業所内保育所をもうける企業に対し、運営費などを助成する
取り組みを始めた。
 これを弾みに、オフィスビル内への設置が加速しそうだ。

 保育所の広がりは事業所内保育所にとどまらない。
 待機児童数が増え続ける理由の一つに、保育所を新設するのに必要な土地の確保が難し
いことが挙げられる。
 来年には「公園内保育所」が誕生する。

 週末に家族連れでにぎわう東京・品川の区立西大井広場公園。
 品川区は17年4月、公園の敷地内に認可保育所を設ける。
 敷地面積は約500㎡、定員は100人の予定。
 運営を担うのはこどもの森(国分寺市)。
 大阪府豊中市や仙台市でも来年、公園内保育所ができる予定だ。

 今秋には東京都庁内に「とちょう保育園」が設置されるなど、行政の現場でも保育所
の設置が進む。
 ビル内の空きスペースにあり、2歳児までを対象とした「ミニ保育所」を3歳児以上も
利用できるよう規制緩和する検討も始まった。

 保育サービスの売上高は前年度比18.3%増。
 多様なニーズに応えるため、サービスの裾野はますます広がる。

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介護業界のランキングのトップは、年商1000億円レベルに達していますが、保育
業界のトップは、ほぼ200億円で、2位で120億円。
ランキング16位までが、同10億円超、ということで、事業規模はまだまだ小さい
ことが分かります。

基本的には保育料のみの収入に依存するわけで、やむを得ないですが、その事自
体、保育士の賃金が低いことを示すと言えます。

介護業界や医療業界は、保険制度をベースにした給付という安定収益化システム
があります。
それに対して保育は、付随しての収益源は限られ、関連する領域での多角化にも
限りがあります。

その点からも、保育事業は、元々公的なものであり、民営・私立保育事業は、助
成金・補助金なしで運営・管理することが難しいことを認識しておくべきでしょう。

今回のランキングの内容を見て、改めて、保育政策・制度の抜本的な改革が必要
であると強く感じた次第です。

その問題提起と、方針・方向性を考えるヒントとしての、最近の3冊の書。
フランスはどう少子化を克服したか』『世界一子どもを育てやすい国にしよう
保育園義務教育化』をこのブログで、紹介しながら、望ましい制度・改革の方策を
継続して考えていきたいと思います。

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<『フランスはどう少子化を克服したか』より>
第1回:衝撃の実態・制度を、仏在住日本人ママが体験調査レポート
第2回:日仏の保育政策・制度の違いは、子育てに対する認識の違いにあり
第3回:親だけで子供を守り育てることはできないと考える仏社会

<『保育園義務教育化』より>
第1回:絶望の国の「お母さん」にしない、ならないために
第2回:待機すれば入園できるのか?お母さんを虐待する待機児童問題
第3回:「一人っ子政策」を進めているかのような日本の少子化対策の怪
第4回:少子化を克服したフランスの経済学者ピケティも不安視する日本の育児と少子化
第5回:子どもの数よりも猫と犬の数が多い現実
第6回:義務教育の早期化は世界的な潮流
第7回:共に教育を提供する保育所と幼稚園から導く、義務教育化保育園
第8回:保育園義務教育化は「未来への投資」。社会福祉の世代間格差も考える
第9回:母親と子どもとの個体分離。片手落ちのお母さん擁護論の幼児性
第10回:炎上させる人間自身の親や子としての在り方を問い返すべき
第11回:家族資源が希薄な時代の「お母さん」の産後ケアのあり方
第12回:子どもを産み育てる親の覚悟と、それを支える社会の覚悟
第13回:養子縁組の少なさよりも人工妊娠中絶の多さが大問題
第14回:母乳であろうと粉ミルクであろうと、母子共に健康であれば良し
第15回:粉ミルクならできるイクメン哺乳瓶授乳体験
第16回:両論併記は選択の自由の証。母乳派・粉ミルク派・折衷派みんなそれぞれお母さん
第17回:イクメン、イクボスの広がりは、男性の育児時間を劇的に増やす?2016年社会生活基本調査10月20日
第18回:子育てに悩むお母さんを支える公的支援システムを!
第19回:少子化対策・保育制度・子育て支援・教育制度。一気通貫で子どものための社会改革を
第20回:児童虐待・育児放棄・児童遺棄。社会がその撲滅に責任を

<最近の関連ブログ>
◆:待機児童ゼロが実現できないのは、誰の責任?:日経「保育の課題」(上)から
◆:保育所開設中止に追い込む周辺住民の反対。その責任は行政に:日経「保育の課題」(中)から
◆:問われる保育事業者の質、保育サービスの質。保育所は公営を原則に:日経「保育の課題」(下)から
◆:都の保育所政策、小池色は未だ不鮮明:各区の取り組みと都政策との連携はどうなる?
◆:厚労省、保育士賃上げに条件付き補助金攻勢の疑問:保育事業と公私立の適用方針・基準を見直すべき
◆:離職・退職・潜在保育士掘り起しへ、大手保育各社、知恵を絞る:子供の保育料援助、復職セミナー、専用サイト
◆:保育所増設は、国交省の規制緩和と企業主導保育所が頼りになる
◆:資生堂、JPHDと合弁で事業所内保育事業会社設立:顧客・社員女性主体企業の責務と期待
◆:トヨタ自動車、親と出勤の子どもを託児所間「送迎保育」:総合的生活支援システムが広がる大手企業

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