待機児童解消は規制緩和で:ミニ保育所、特区で年齢制限緩和。企業主導型保育所は税制改正で優遇
子育て・保育行政の最大の課題は、待機児童の解消。
そのための政策は、1に、施設を増やすこと、2に定員増加とそのための各種規制緩和、
3に、施設新規開設の障害になっている保育士確保のための処遇改善。
ほとんど、以上に集約され、保育サービス質の在り方や保育の基本方針などを根本的に
見直すなどの視点は、どこかに行ってしまっています。
上の3つの政策の中で、最も金を掛けずに、実効が期待できるのが、2の、定員増とそ
のための各種規制緩和。1との組み合わせのケースも多々あります。
そうした方策の事例を、少し見ていくことにします。
先ず、2016/12/11付日経の記事から。
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ミニ保育所、5歳児まで 政府、特区で年齢制限緩和
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政府は国家戦略特区で小規模保育所(ミニ保育所)の入所年齢制限を緩める。
原則として2歳児までに限定しているが、5歳児まで預かれるようにする。
ミニ保育所はビルの空きスペースなどを活用しており、都市部で機動的に増やせる強み
がある。
ミニ保育所に通いやすくすることで、待機児童の解消を急ぎ、共働き世帯が子育てをし
やすい環境を整える。
12月12日の国家戦略特区諮問会議で決定。
国家戦略特区法改正案を来年の通常国会に提出する。
ミニ保育所に通う子どもは3歳で卒園し、通常の認可保育所などに移る必要があるが、
その段階での保育所不足が深刻になっている。
「3歳児の壁」がなくなれば、ミニ保育所の事業者は0~5歳の一貫保育が可能に。
ミニ保育所の要件緩和は9月の特区諮問会議で小池百合子都知事が要望していた。
12日の会議では、事前に規制を設けない「ゼロベース特区」創設の検討も始めている。
あらかじめ金融取引などのルールを緩め、事後検証を通じて必要なルールを構築して
いく新たな仕組みを備えた特区になる。
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現状、6~19人が定員の小規模保育所の定員上限を22人に、という議論は、今年3月に
厚労省がしていたことです。
これをまずは特区でやろうと。
最もそのニーズが都市部にあり、とりわけ特区に指定された東京都で有効だから・・・。
しかし、本質的には、認可保育所への入所を希望する利用者の意に沿わない方法。
保育の質への不安が解消されるわけではなく、むしろ、小規模保育所を運営する事業
者にとって、収益があがる方策でもあることが、規制緩和の裏の理由とも思えるのです
が・・・。
規制緩和のもう一つの例は、先月末、2016/11/29付日経の以下の記事。
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企業の保育所、増設支援 税制改正で固定資産税を半減
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2017年度の税制改正に向けた調整が大詰めを迎えている。(12月8日大綱決定済み)
政府・与党は11月28日、子育てをしている女性が仕事に就きやすいように、企業に
よる保育所の設置を減税で後押しする方針を決めた。
「企業主導型」と呼ばれる認可外の保育所は、4月にできた制度だ。
認可保育所より保育士や定員の規制が緩く、複数の企業が共同で設置したり、従業
員以外の子供を受け入れたりできる。
企業の敷地内だけでなく、社宅の近くや駅前にもつくれる。
17年度の税制改正では、企業主導型保育所の固定資産税と都市計画税を通常の5割
に減らす。施設の運営費を抑え、都市部で深刻な待機児童問題の解消をめざす。