待機児童解消は規制緩和で(3):「企業主導型保育事業」拡大で、やっぱり企業頼み

現状の子育て・保育行政の最大の課題は、待機児童解消。
そのための政策は、1に、施設を増やすこと、2に定員増加とそのための各種規制緩和、
3に、施設新規開設の障害になっている保育士確保のための処遇改善。
ほとんど、以上に集約され、保育サービス質の在り方や保育の基本方針などを根本的に
見直すなどの視点は、どこかに行ってしまっています。

上の3つの政策の中で、最も金を掛けずに、実効が期待できるのが、2の、定員増とそ
のための各種規制緩和。1との組み合わせのケースも多々あります。
そうした方策の事例紹介を進めています。
待機児童解消は規制緩和で:ミニ保育所、特区で年齢制限緩和。企業主導型保育所は税制改正で優遇
待機児童解消は規制緩和で(2):「空きビル保育所」承認の裏表事情。規制緩和の本質を考える

今回3回目は、2016/12/17付日経記事の紹介で。

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 企業向け保育所増設
 ポピンズ10カ所、ニチイ学館38カ所 待機児童削減に効果
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 民間の保育大手が企業からの保育所運営受託を増やす。
 今年4月に内閣府が導入した企業が自社の従業員向けに設立する保育所が対象で、
ポピンズは2017年4月までに約10カ所、ニチイ学館も同38カ所の運営を手掛ける計画。
 従来の認可保育所に比べ開設コストが低く手続きが容易で、税の優遇制度もある。
 大手の運営件数が拡大すれば、待機児童の削減につながりそうだ。

※記事中の資料から

 各社が活用するのは「企業主導型保育事業」という制度。
 企業が自社従業員の福利厚生の一環で主体となって保育所設立を促すもの。
 オフィスや工場の敷地内のほか、社宅の近くや駅前にも設置でき、国から運営費や
整備
費の助成を受けられる
 保育大手は主にこうした企業が設置した保育所の運営を受託する。

 通常の認可保育所に比べ必要な保育士数や定員などの要件が緩く、機動的に開設で
きる
のが特徴。
 複数の企業が共同で設置したり、従業員以外の地域の子供を任意で受け入れたりす
るこ
とも可能だ
 政府は待機児童解消に向けた政策の一つとして推進している。

 ポピンズは来年4月までにサッポロホールディングスの恵比寿本社や関西国際空港
など、
企業主導型を活用した約10カ所の保育所をつくる計画だ。
 テナント企業の従業員や周辺住民の子供も受け入れる

 ニチイ学館も同4月までに自社従業員向けを33カ所、一般の企業向けに5カ所を設
ける。

 今後は他社向けの受託をさらに進める方針。
 同社が展開する子供向け英会話教室「COCO(ココ)塾ジュニア」と連携して語
学レ
ッスンを実施する。

 保育最大手のJPホールディングスは資生堂と組み、企業主導型保育所を運営する
共同
出資会社を17年2月にも設立。
 まずは資生堂の従業員向けに開設し、ノウハウを積んで他の企業の運営受託を狙う。

 保育士や新規開設に適した土地が限られるなか、国の基準を満たす認可保育所の設
立ペ
ースを落とさざるを得なくなっている
 16年度の認可保育所などの開設計画はポピンズが6カ所にとどまっている。
 単純比較はできないが、企業主導型が認可保育所を上回るペースとなりそうだ。

 地方でも活用が広がる。
 アートコーポレーション子会社のアートチャイルドケア(大阪府大東市)は4月ま
でに
東北などで5カ所以上新設。
 キッズコーポレーション(宇都宮市)も来年9月までに病院・企業内の保育所を10
~20
カ所増やす方針。

 保育所に入りたくても入れない待機児童の解消が課題となるなか、政府は保育所の
定員
を17年度までに13年度比で50万人分増やし、約280万人分の受け皿を確保する目
標を掲げる

 増加分のうち1割にあたる5万人を企業主導型で賄う計画
 従業員の福利厚生を強化したい企業と資本力のある保育大手の取り組みが本格化す
れば、
待機児童解消に向け前進することになる。

新制度で企業内での保育所設置を促す
※記事中の画像をそのまま転載させて頂きました。

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企業主導型保育事業とは?

手続き容易 税も優遇

 内閣府が今年4月に始めた、企業が主に自社従業員のために設置する保育所に関する
制度。

 認可外にあたるが、一定の基準を満たせば「認可保育所並み」の補助金を受けられる
のが
特徴。
 認可保育所は定員を20人以上に設定する必要があるが、企業主導型は19人以下でも設
置で
き、職員は保育士が半分以上いればいい

 自治体に届け出をするだけで設置でき、税制面での優遇策もある。
 17年度の税制改正案では、企業主導型保育所の固定資産税と都市計画税を通常の5割
に減らす

 11月時点で、7862人分の定員を確保しており、延べ305施設が補助金を受ける

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今回の<企業主導型保育所>に関しては、先月も、以下のブログで取り上げ、紹介して
きました。

保育所増設は、国交省の規制緩和と企業主導保育所が頼りになる (2016/11/17)
資生堂、JPHDと合弁で事業所内保育事業会社設立:顧客・社員女性主体企業の責務と期待 (2016/11/18)

今年1年間の保育行政の最優先課題「待機児童解消」。
その結び、決め手になったのが企業主導型保育所と言えます。

働く人にとっても、働き場所に設定された保育園で預かってもらうのが理想。
企業サイドも、優秀な、意欲の高い社員の離職を防ぎ、安心して仕事に取り組んでもら
い、成果を上げてもらえれば理想的。
どちらにもメリットがあり、企業側も、国や自治体から補助金を得て運営できる。
自社で運営ができなければ、専門企業に委託すればよい。

ディベロッパーや工場団地、企業集約地域などで、テナントや入居企業が協同で開設す
る形も今後増えてくるのでは・・・。

どうやら、職育連係一体型のライフスタイルが、これからのトレンドを形成していくの
では、と想像もします。

待機児童問題も、この流れが加速し、現実のものとなっていけば、自ずと解消される。
サラリーマン以外の家庭の子どもは、一般の公立もしくは私立の認可保育所で預かる。
そういうすみ分けができていくかもしれません。

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