「赤ちゃんの急死を考える会」等の強い要望も反映
待機児童対策まっしぐらで、保育の量確保には熱心ですが、本来の課題は保育の質。
間接的な質の改善・保証問題として位置づけられるでしょうか、保育所におけるケガや事故発生時の
補償問題。
認可保育所には公的保険が適用されるということですが、今政府が最優先に取り組んでいる企業型保
育所等は、基本的には認可外保育所にあたり、そこには公的保険がない状態・・・。
重大事故が発生しないとあまり顕在化しない問題ですが、さすがに厚労省も気になっていたのか、本
気で検討するというお話。
以下、2017/1/9付日経の報道を紹介します。
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認可外保育所にも公的補償
厚労省検討、けが・事故に見舞金
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厚生労働省は国の認可基準を満たさない認可外保育所に通う子どもを公的な損害保険制度
の対象に加える検討に入った。
子どもがけがや事故に遭った場合、認可保育所と同様に医療費や見舞金を受け取れるよう
にする。
安心して子どもを預けられるようにすると同時に事業者の保険料負担や訴訟リスクを軽減、
企業の参入も促し待機児童問題の改善につなげる。
必要な法改正を経て、2017年度中にも実施する。
認可外保育所は広さや保育士の数、給食設備など国の定める保育所の認可基準を満たしてい
なかったり、都道府県による認可を受けていなかったりする保育施設。
待機児童問題が深刻な都市部を中心に、預けられている子どもは15年3月時点で約28万人
(事業所内保育所を含む)にのぼる。
内閣府によると、15年に起きた保育施設での死亡事故14件のうち10件が認可外保育所だった。
認可外の事業者は補償に民間の損害保険を利用するケースが多い。
民間の保険では事業者の過失が認められなければ補償はなく、訴訟などで救済が長引くとの
指摘があった。
厚労省が認可外保育所への適用拡大を検討するのは、日本スポーツ振興センターが管理する
災害共済給付制度だ。
学校や幼稚園、認可保育所やミニ保育所向けの公的な損害保険で、子どもがケガをしたり亡
くなったりする事故が起きたとき、保育者や施設の過失の有無にかかわらず医療費や見舞金を
受け取れる。
保育中の事故で子どもを亡くした遺族や支援団体、弁護士らも「災害共済給付の加入対象を
すべての保育施設や事業等に拡充を」(赤ちゃんの急死を考える会)と国に対して要望していた。
保険料は施設の種別と給付件数を考えて決めている。
例えば認可保育所では子ども1人あたりの保険料は年間350円。
このうちの6~9割を保護者が払い、残りは施設を運営している団体が負担している。
認可外保育所への保険の適用拡大に当たり、厚労省は今後、保育士数などに一定の基準を設
けて対象をある程度絞る方向だ。
認可外保育所は認可より事故の発生割合が高いといわれていることも考慮し、利用者が払う
掛け金を高く設定することも検討する。
内閣府は昨年4月から一定の基準をみたせば認可並みの補助金が受け取れる「企業主導型保
育所」の制度を始めた。
17年度末までに5万人分の保育受け皿を確保する方針だ。
企業主導型は認可外保育施設に分類され、安全性の問題を指摘する声もあったため、厚労省
は公的な保険の適用対象に追加したい考えだ。
保険の対象拡大には独立行政法人日本スポーツ振興センター法など関連法の改正が必要。
厚労省は文部科学省などと調整し、早ければ通常国会にも改正法案を出す。
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<認可外保育所とは> 緩い設置基準、監督難しく
民間が運営し都道府県などによる認可を受けていない保育所。
国が定める保育所の認可基準よりも設置基準が緩いが、認可外施設にも一定の基準がある。
たとえば認可保育所の職員は原則保育士だが、認可外の場合は職員の3分の1が保育士で
あればよいとしている。
都道府県は年に1度以上認可外施設に立ち入り、基準を満たしているか調査している。
満たしていなかった場合は施設に対して指導をする。
指導後1カ月以内に施設が設置基準を満たすよう環境を改善しなければ、都道府県は
勧告を出し、改善や移転を求める。
それでも改善しなければ都道府県は施設の閉鎖を命令できる。
認可外保育施設は2015年3月時点で8038カ所。
共働き世帯の増加で認可保育所に入れない子どもも増え、約240万人いる保育所の利用
児童数(事業所内保育所を除く)の1割程度が認可外施設に預けられている。
自治体の補助金を受け取れない場合、認可保育所よりも保育料が高い施設が多い。
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読み進めていくうちに腹が立ってきました。
公的保険というからには、大半が国・自治体が保険料を負担し、施設も一部を負担する制度と感じて
いたのですが、父兄負担が多いと・・・。
ならば公的保険ではなく、私的保険と呼ぶべきではないか・・・。
公的法人が保険事業で収益を上げているわけで、その部分だけで公的保険と言っている。
毎回述べていますが、本来保育事業は、公的社会福祉・教育事業。
そこでの事故に対する責任は、国・自治体などが基本、負うべき。
民間に施設運営事業を委託していると、考えるべきなのです。
その損害保険保険料は、全額国・行政が負担すべき性格のもの。
そもそも、これも何度も申し上げていることですが、<認可外保育所>が保育所を運営する、できる
ということ自体がおかしい。
異なる設置基準を適用されている、一種の認可保育所なのですから、<認可外>という表現はやめる
べきです。
第1種保育所、第2種保育所などの区分の再構築を行うべき。
当然のことではありませんか。
認可外保育所が8000以上あるなんて・・・。
保育行政官庁と担当者をそれと認めるかどうか・・・。
認可官庁・自治体・担当者、認可外官庁・自治体・担当者の区分が必要になるのではないか、と・・・。
後の方の用語の解説記事の冒頭。
「緩い基準、監督難しく」・・・。
バカなことを言うんじゃありません。
監督できないなら、認可外としても認めるべきではないじゃないですか・・・。
やはり認可外官庁・自治体・担当者がまかり通っている保育行政です。