「小池流保育行政改革予算」にみる財政改革モデル:小学校付属保育所設置の研究・検討を

東京都各区の区長選と今年の都議選に向けて、選挙対策・選挙活動に本腰を入れ始めた小池都知事。
連動する区政と都議会の主導権を取ることと都予算の立案・執行とは一体のものであるだけに、
いよいよ小池都政本番という段階に入ったとしてよいかと思います。

その予算。
小池都政の重点・特徴が如実に反映されたのが、待機児童対策を含む育児関連予算案。
2017/1/27付日経<東京・首都圏経済>欄の記事を紹介します。

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 「小池流予算」 待機児童対策、「3年後ゼロ」へ4割増額
 保育士給与上げ、用地の税免除
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東京都の小池百合子知事は2017年度予算案で待機児童対策に過去最大の1381億円を計上した。
 保育士確保へ給与補助を増やし幼稚園教諭並みに引き上げる一方、保育所用地の税負担減免を
拡大し新設を促し、「19年度末までの待機児童ゼロ」を目指す。
 その成否は、知事選で公約に掲げた政策に重点配分した「小池色」予算案全般に対する試金石
ともなりそうだ。

都予算
※記事中の資料を転載させて頂きました。

 小池知事は昨年8月の就任時から待機児童対策を「喫緊の課題」と位置付けており、来年度予算の
関連事業費は16年度に比べ4割増えた。
 一連の対策で17年度には保育サービスの定員を1万8千人分増やす。

 具体策の一つが保育士不足解消への取り組み。
 保育士の給与引き上げに向け、1人当たり月額2万1千円、補助を上乗せする。
 既に独自に2万3千円を補助しており、17年度から上乗せする補助額は計4万4千円となる
 これにより他の職種と比べ低いとされる保育士の給与は幼稚園教諭と同水準となる見通しだ。

保育士の子ども、待機児童化にシッター代支給

 育児休業を終えた保育士の子どもが待機児童となった場合に月額28万円のベビーシッター代を負担する。
 国は保育士の子どもの優先入所を自治体に呼びかけるが、「他にも人手不足の職種はある」との声も根
強く導入例は町田市など一部に限られる。
 このため長年手を付けなかったベビーシッター補助に踏み切った。

 保育所新設を税制面からも後押しする。
 23区内で20年度末までに新たな賃貸借契約を結んだ土地で認可・認証保育所が新設された場合、その
土地に対する固定資産税と都市計画税を5年間、全額免除する。

 これまでも事業者が所有地に保育所を建てたり、土地を無料で貸したりした場合、こうした税負担は
全額免除となっている。都によると有料で貸す土地にまで広げるのは全国で初めてという。

 企業主導型保育所への支援も拡充する。
 国からの補助の対象にならない開設時の備品購入に必要な経費についても独自に補助することにした。

 小池知事は就任後、舛添要一前知事時代に決めた4年間で4万人分という保育定員を増やす目標の引き
上げを指示。19年度末までの待機児童ゼロに向けて4年間に7万人分の保育定員を増やす計画を示した。

実現に不透明感

 都幹部は「あらゆる対策を総動員しないと達成できない水準」と解説する。
 保育所を整備する主体となる都内自治体からも「保育所を建てられる土地がない」と悲鳴が上がる。
23区のある保育担当者は都の計画に「正直、ついていくのは厳しい」と打ち明ける。

 「こうした取り組みで19年度末までに待機児童の解消を目指してまいりたい。19年度末でございます」。
 小池知事は25日の記者会見でこう繰り返したが、17年度予算が目標達成への足固めとなるかが問われる。

都待機児童2
※記事中の画像を引用転載させて頂きました。

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対策項目自体は、これまでも報じられてきたことがほとんどですが、注目すべきは、予算編成自体の
特徴とされています。

前日の2017/1/26付日経の「小池都知事初の予算案、「大義」の政策手厚く」と題した記事のなかで

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東京都の小池百合子知事が初めて編成した2017年度予算案は、待機児童対策に過去最大となる1381億円
を充てるなど、昨夏の知事選で公約の柱とした政策に重点的に配分した。
 一方、築地市場の移転延期による業者への補償や移転する場合の費用、20年五輪の仮設施設整備費など
結論の出ていない懸案の予算計上は先送りした。

 「大義とメリハリのある予算に仕上がった」。
 1月25日、記者会見に先だって幹部職員を集めた庁内の会議で小池知事はこう胸を張った。
 その言葉通り、選挙戦以来「大義」として掲げてきた政策への手厚い配分が目立つ。
 総額としてはマイナス予算ながら「必要な施策には思い切って予算をつけた」

 例えば待機児童の解消に向けては16年度当初比41%の大幅増となる1381億円を計上。
 知事就任から間もない昨秋、緊急対策として126億円の補正予算を組んだのに続き、施策を強化・拡充。

 「現場を担う保育士の確保は頭の痛い問題」として、保育士の待遇改善のための補助金は2.3倍の244億
円に増額。保育所整備の促進には46億円を投じて建物賃料の補助を新たに始める。
 認可外保育所の利用支援、保育現場の負担軽減を目指した情報通信技術(ICT)の導入補助なども
新規事業として盛り込んだ。

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としています。

一応、懸案問題についての予算化は未定で不透明ですが、「全体ではマイナス予算」とし、かつ従来の
予算化方式・方針を改めて、事業の見直しなど進め、700億円近く財源を捻出したことが他紙で報じられ
ていました。

このあたりが、小池都政の最大の特徴というべきではないかと感じています。
すなわち、国の財政・予算方針においても、十分実施可能・実現可能なのではないかということ。
国に対して範を示したと言えることを評価すべきと思います。
財政改革のミニ版、モデルです。

それにしても、一人の保育士に対して、都が4万4千円給与補助をしている。
いつも言っているように、これは準都職員=準公務員というべき職務です。
私立保育所も準都立保育所と言ってよい。
特別にその関連での法律を制定すべきではないかと思うのです。

加えて、区立小学校に付属保育園を設置する。
この政策、ぜひ検討して欲しいのですが・・・。
物理的に可能な小学校がどのくらいあるか、まず調べてみる・・・。
意外に簡単に、2019年度待機児童ゼロ化は可能かもしれませんぞ・・・。

保育所流山

 

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