豪州パパとママの仕事と育児事情:どの国の夫婦・カップルにも共通の課題があります
このところ日本の父親の育児・育休事情を取り上げていますが、どうしてもフランスの
事情と比較してしまいがち。
これが前回のブログ
◆広がるか育休パパ。育児休業制度改定が目指す、パタハラ抑止と育休取得率2020年13%
他の国の事情は、ということで、最近オーストラリアの現状についてのレポートを見ま
したので、紹介します。
2017/2/7付日経夕刊に、日経DUALの1月23日付記事を転載してのものです。
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豪州のパパ、仕事と育児事情
キャリア外交官、パートタイムに切り替え 週4日勤務、夫婦でバランス
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日本では、長期に育児休業を取る父親や主夫である男性はまだまだ少数派だ。
だが共働きが当たり前のオーストラリアでは決して珍しくない存在になっている。
日経BP社の共働き世帯向け情報サイト「日経DUAL」から、オーストラリアの父
親たちの仕事と育児の両立事情を紹介する。
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ートタイムに切り替えた。
コークさんと、パートナーのナオミ・ヴィカーズさんは共にキャリア外交官。
海外赴任は交代ですると決めた。
一昨年までは、ヴィカーズさんのヨルダンへの赴任にコークさんが配偶者として同行。
帰国直後に生まれた娘の育児は2人で平等に担う。
「父親も、母親と同じように子どものそばにいるべきだ」とコークさん。
ヴィカーズさんが1年間の産休をとったのに加え、コークさんも娘の出生時に7週間
の休みをとった。
現在は2人とも週4日のパートタイムで働き、育児とのバランスをとっている。
どうしてこのようなことが可能なのか。
コークさんは「男性上司の理解があったことが大きかった」と振り返る。
「上司自身も、子どもが生まれて最初の5年間、仕事が忙しくて育児ができなかったこ
とを後悔し、その後、パートタイムに切り替えた人。私のことも応援してくれた」
しかし、すべての人が上司に恵まれるわけではない。
そこで外務貿易省では一昨年末、「ダメなら、なぜダメ?(If not, why
not?)」という方針を導入した。
部下が柔軟性のある働き方を求めた場合、上司は不可能という正当な理由がない限り、
前向きに検討しなければならない。
この結果、コークさんの同僚には、夫婦で1つのポジションをシェアして働いている
人もいるという。
男性が主体的に子育てをする点で日本の一歩先をいくオーストラリアだが、男女格差
への議論は熱い。
「育児で働き方を変える男性の数は、女性と比べて少ない」とコークさんは言う。
このため、男性にとっては女性以上に周囲の理解が求められるという。
育児を理由にパートタイムで働く男性に対し「キャリアを重視していない」との見方
もあるからだ。
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主夫になることに「苦労や犠牲が全くないとは言わない」というのは、エネルギー関係
のロビイストとして働いていたランガ・パリマラさん。
産業技術革新科学省に勤める妻のキャロリン・バートンさんと娘を育てていたが、息子
が生まれた直後にバートンさんの東京転勤が決まった。
パリマラさんが決断したのは、自分が仕事を辞めて「主夫」になることだった。
「家族で一緒に新しい国で生活を始めるのは楽しみだったが、どこかに『自分は何をして
いるのか』との不安があった。こういう決断をする母親は多いが父親はあまりいないので」
育児に専念する生活で一番苦労したのは「知的な刺激がなくなったこと」だった。
周囲から「知的興味のない主夫」として見られるのもつらかった。
キャリアも犠牲になった。
帰国した現在は連邦政府職員として再就職しているが「4年のブランクがあったため、
キャリアは10年遅れた」。
パリマラさんのような男性はどのくらいいるのか。
共働きで3人の子を育てるジャーナリストのアナベル・クラブさんは「数はまだ少ない」
という。
2011年の国勢調査を基にした計算では、15歳未満の子がいる家庭で、父親がフルタイム、
母親がパートタイムまたは主婦であるのは60%。
母親がフルタイムで父親がパートタイム・主夫の家庭は3%という。
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背景を男性側から調査した研究者がいる。
国立モナッシュ大学講師で社会研究者のサモーン・マッカーディーさんだ。
父親951人を調査したところ、家計に問題がなければ「3カ月以上仕事を休んででも育児
をしたい」と考える人が85%もいた。
男性が主な稼ぎ手であるべきだという考えが「自然だ」とする父親が33%の一方、男性
が稼ぎ手であるべきだという社会的圧力を感じる人は90%近くに上った。
「父親は(母親と)平等に育児をしたいと思い、仕事を離れてもいいとさえ考えている。
しかし、家庭の主な稼ぎ手でなければ、というプレッシャーが、父親が育児に専念するのを
妨げている」とマッカーディーさんは主張する。
そんななか、あえて主夫になったパリマラさん。
犠牲もあったが、主夫だった4年間を「一切後悔していない」と断言する。
子どもと過ごした時間の価値は、キャリアの遅れを上回ると考えるからだ。
「息子が初めて言葉を発したときも、初めて歩いたときもそばにいた。仕事で多忙だった妻
はその機会を逃したが、代わりにキャリアを積むことができた。カップルとして私たちは
これで良かった」
これまで女性ばかりに焦点が当たりがちだった「仕事と家庭」をめぐる議論。
しかし男性も女性と平等に育児をしなければ、また時には従来の男女の役割を交換しなけ
れば、状況はそう大きくは変わらない。大きな鍵を握るのは男性なのかもしれない。
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豪州クレイトン在住の川崎舎裕子さんによる
「育休、パート、主夫 オーストラリアの父親の選択肢
男性も柔軟に働けるように、政府機関が「ダメなら、なぜダメ?」というユニークな方針を導入」
と題したレポート。
公務員夫婦・カップルに限ってのレポートなので、ちょっとどうなのかな、と思いますが、
日本との違いはやはり大きいですね。
「家計に問題がなければ」という条件付きでの父親専念志向は、どこでもある程度同じ
ではないでしょうか。
ただ、それが、何年間続くのか、続けるのかという課題が付いて回るわけで、決して、
半永久的に続くわけではない。
では、いつの時点で、どういう形で、自己実現や社会的貢献という希望の実現を目指す
のか。
そういう視点・ポリシーを持って生きていくために、育児・子育てにどう関わっていく
か。これは男性だけでない女性も同様の課題を突き付けられている・・・。
突き付けるのは、周囲・周辺ではなくて、自分自身である。
そうしっかり認識すべきであり、夫婦・カップル間でも話し合っておくことが必要でし
ょう。
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上記の記事は、そこからの抜粋で、実際には、かなり読み応えがあるボリューム・内容
になっています。
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「昼間のパパ」は公園も、学校のお迎えも
平日の昼間、公園には就学前の子どもたちが集まる。
そのそばで立ち話をする母親もいれば、ボールを転がす父親、バギーを押して散歩をする
父親もいる。小学生が授業を終える午後3時ごろになると、親たちは子どもを迎えに学校へ。
仕事から駆けつけたスーツ姿の父親や、赤ん坊を抱えたTシャツ姿の父親も多く見られる。
共働きが当たり前のオーストラリアでこんな風景は珍しくなくなった。
育休中の父親や、フレックスタイムやパートタイムで働く父親もいるからだ。
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こんな書き出しのレポート。
ぜひ、全文読んでいただければと思います。