「待機児童ゼロ」先送り:政治・行政のリーダー不在と総合的政策マネジメント不足が要因

新学期が迫ってくると待機児童問題がまた大きく取り上げられる時期になります。
年度替わりに伴う、官庁の今期の総括と新年度の計画業務も重なり合う時期。

2017/2/18付日経が、政府の待機児童ゼロ計画の見通しがらみで、以下報じました。

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「待機児童ゼロ」先送り濃厚 来年度末政府目標 働く女性増加で
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 安倍晋三首相は2月17日の衆院予算委員会で、2017年度末に待機児童をゼロにする
政府目標の達成は「非常に厳しい状況になっている」と述べた。
働く女性の増加で保育需要が高まっており、待機児童は2年連続で増えた。
地方自治体は19年度までの保育所の整備計画を練っており、ゼロ達成時期の先送り
が避けられない情勢だ。

 首相は衆院予算委で「にわかに間違いなく達成できる状況ではない」と政府目標の
達成が難しいことを認めた。
待機児童が減らない理由として「働き始める女性が予想以上になった」と指摘。
保育需要に施設の供給が追いついていない実情を説明した。

 首相は政府目標に向けて「しっかり進んでいく」と強調したが、達成は容易でない。

 16年4月時点の待機児童は前年より386人増え2万3553人。
申込者数が8.6万人増えた影響で、2年連続の増加となった。
申込者は毎年増え続けている。

 厚労省は自治体ごとにばらつきがある待機児童の定義の統一も検討している。
たとえば育児休業中の扱いは市区町村の判断に委ねており、保育所に入れずにやむ
を得ず育休を利用している場合でも待機児童に入れていない自治体が多い。
見直し次第では待機児童の数字が増える可能性がある。

 「保育園落ちた日本死ね」と書かれた匿名ブログに、首相が「本当かどうか確かめ
ようがない」と答弁したことで非難を受けてから1年。
政府は対策を重ねているが、目標達成には暗雲が垂れこめている。

3

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まあお粗末な話です。
女性活躍、女性就労を煽っておきながら、一方で、その希望・行動をしぼませてし
まう待機児童解消先送り。
相変わらず、というか、希望を持たせた分反動が大きくなるわけで、保育園落ちた、
の現実が、増幅しているかのようです。

待機児童の定義が自治体によって異なる。
これもまったく厚労省の信じられない怠慢で、例えば、2017/1/28付日経で、このよ
うに報じられたことがあります。

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 保育所見つからず育休延長 厚労省、「待機児童」扱いに
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厚生労働省は保育所に入りたくても入れない待機児童について、預け先が見つから
ずに保護者が育児休業を延長せざるを得ない場合に待機児童として扱う方針だ。
 これまで育児休業中の扱いは市区町村の判断に委ね、多くの自治体が集計から除外
している。

 厚労省は3月末までに待機児童の新しい定義の結論を出す。

 厚労省は自治体ごとのばらつきをなくすため、昨年から議論を始めた。
 同省の有識者検討会では、職場復帰の意志があるのに保育所が見つからず育休を延
長する場合は待機児童と扱うべきだという意見が多い。

 16年の待機児童数には、親が育休中で保育所に入れない子ども(7229人)は含まれ
ていない

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そして、これも信じられないことなのですが、この4月からの入園予定で募集していた
保育園が、申し込み締め切り後になって、保育士不足で募集を取りやめた、と。

2017/2/17付日経が報じました。

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 練馬の認可保育所、0歳児の募集取り消し 申し込み締め切り後、保育士足りず
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 東京都練馬区の私立認可保育所「神の教会保育園分園(いずみ保育園旭丘)」が、今
年4月の0歳児クラスの入園について、申し込みを締め切った後で急きょ募集自体を取
り消していたことが2月16日までにわかった。
保育士が不足し、受け入れ体制が整わなかったことが理由。
同区によると、入園受け付け後に募集を取り消すのは異例だという。

 同園は4月入園に向け、生後6カ月以上の0歳児を9人募集していた。
しかし保育士の確保が間に合わず、1月5日付で募集を取り消す旨を希望者へ伝えた。

 認可保育所は、入園希望を自治体が取りまとめ、保育の必要性などに応じて内定者を
決める。
練馬区の認可保育所への4月入園申し込みの締め切り日は昨年12月2日だった。
神の教会保育園分園の0歳児クラスへは43人が入園を申し込んでおり、うち第1希望
者は5人いた。

 区は募集取り消しを受け、希望者へ別の保育所へ入園希望を変更するよう通知した。
しかし、再申し込みの締め切りまでは8日しかなく「通知が遅い」と不満の声が出た。

 同園の金本悟園長によると、保育士が退職後、人員が確保できず今回の事態に至ったと
いう。
金本園長は「25日に予定している保護者説明会で詳しい経緯を説明する」と話している。

 都市部を中心に保育士不足は深刻さを増している。
東京都は「個別の自治体の状況は把握していない」としているが、世田谷区、足立区な
どの保育担当によると「いったん園児を募集しながら取り消すのはこれまで例がない」と
いう。

2

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共働きが当たり前、共働きしなければ経済的に厳しい・・・。
そういう道筋が強力に引かれて、一種の強迫観念になり、働かねば、早く職場復帰しな
ければというプレッシャーも・・・。

保育政策・行政と労働政策・行政、加えて配偶者控除や所得税等税制や関連社会保険制
度問題、そして住民・国民の意識と行動・・・。
課題改善・解決の先送りは常態化・・・。
それらが複雑に、複合的にミスマッチを引き起こし、待機児童問題もスパイラル化し、
解決の見通しが立てづらくなっている。

もちろん、保育政策・行政と現場における施設不足、保育士不足、低賃金など、物理的
・現実的な要素がその直接の原因なのでしょうが、やはり複合的に、総合的に対策を打つ
必要があります。
例えば育児休業制度もその課題のひとつ。

個々に、それなりに一生懸命取り組んでいるのでしょうが、一つ何か改善されても、別
の要因で、その改善が現実のものにならない。

本来ならば、一つ改善されれば、次の改善につながり、それがまた次の好循環を生み出す。

例えば、希望する保育所に子どもを安心して預けることができるようになる。
育児と仕事が両立できる基盤が整う。
そして希望する仕事に就くこと、戻ることができて、社会保険料や配偶者控除などの不安
や不公平が改正されて、思い切り働くことができる。
そのため世帯収入も増え、国や自治体の税収や社会保険料徴収額も増える。
企業も優秀で意欲の高い社員・従業員を雇用でき、企業の収益も上がり、そこでも税収や
社会保険料徴収額が増える。
そして経済的にゆとりが生じた世帯では、希望する数の子どもを持とうと、第二子・第三
子の壁を乗り越え、出生率も改善を見せる・・・。

それがあるべき政治なのですが、結びつかない、繋がらない・・・。
で、とどのつまり、格差の拡大を招き、助長している・・・。
だから、将来に期待が持てない、不安がある、ストレスを抱えている人が多い・・・。

単純すぎるかもしれませんが、そんな感じです。

でも、テロも移民問題も、他の諸外国と比べると、現実的な問題とされることがない、
平和な国ゆえに、政情不安などありようもない・・・。
まあ、それなりにいい国、いい社会の分類に入るわけでしょうから・・・。

真の政治のリーダーが不在で、政治のマネジメントが効いていないのです。

しかし、待機児童問題。
少子化対策ともつながっており、何よりも最優先課題に位置付けるべきもの。
関係する政治家・官庁・官僚・公務員は減給してでも、その責任を明確にすべきなのですが・・・。
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