首都圏の保育士不足、地方で青田刈りで対策:地方の若い女性減少、人口減少要因にも・・・
2017/2/25
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保育士 地方で確保
養成校の学生支援や新卒支度金、首都圏へ呼び込み
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首都圏で深刻化する保育士不足に対応するため、保育大手が地方の人材確保に動き始
めている。地方にいる保育士を東京都や神奈川県などへ呼び込み、人手不足の解消につ
なげる。
保育士不足は全国的な問題だが、東京都内が特に深刻だ。
16年12月の保育士の有効求人倍率は5.92倍と全国平均の2.67倍を大きく上回っている。
ポピンズの中村紀子社長は「人事担当者が全国を駆け回ってもまだ足りない」と指摘。
◆学研ココファン・ナーサリーは保育士の養成学校と連携し、学生の生活費を補助する。
第1弾として秋草学園短期大学(埼玉県所沢市)と契約。
自社をPRできる講座を年に数回開くかわりに、受講する一人暮らしの学生の生活費
の足しになるよう、就学支援金を支給する。
学研ココファンの保育所で2年働けば24万円の返還を免除する方針だ。
ほかにも保育士の資格がとれる東京近辺の大学や短大、専門学校などを中心に協力校
を増やしていきたい考えだ。
◆アートコーポレーション子会社のアートチャイルドケアは東京都などで働く地方の新
卒者に一律10万円の支度金を転居費とは別に支給する。
支度金は家電製品の購入や当面の生活費に充ててもらう。
◆ポピンズも新卒者に対する支度金を導入している。
3月末までに正社員として入社する保育士に支度金として10万円を支給する。
◆最大手JPホールディングスは保育士向けの社員寮を東京都と神奈川県の計7カ所に
構え、保育士の住居費負担を抑えている。
収容可能な人数は計382人で、保育士の支払額は月1万円で済む。
こうした点をアピールし、17年4月に前年比約3割増の250人の保育士採用を目指し
ている。内定者のうち地方出身者は約7割に達しているという。
16年4月時点で東京都の待機児童数は8466人と、全体の約3分の1を占める。
一方、地方では長野県や山形県など「待機児童ゼロ」の自治体も目立つ。
地方の保育士が首都圏に向かう流れが本格化すれば、待機児童問題の軽減につながる
可能性がある。
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この記事の1週間前、2017/2/18付の日経には、こんな記事も。
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JPHD、保育士の給与を2%引き上げ 3年連続
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保育施設運営最大手のJPホールディングスは4月から、保育士の給与を年平均
2%引き上げることを決めた。給与の引き上げは3年連続。
保育業界では慢性的な人手不足が続いており、事業拡大の足かせになっている。
保育士の待遇を改善し、採用の増加や離職の抑制につなげる。
同社の2016年12月末時点の従業員は約2700人で、このうち保育士が6割強を占め
るとみられる。
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いろいろな点で、一極集中と格差拡大の局面に一向に変化がないどころか、益々
その勢いと影響が増している・・・。そんな感じがします。
このところの保育士不足・施設不足・待機児童問題を見ている限りでは・・・。
とかく生活コストが高く、低賃金では住みづらい首都圏なのですが、支度金・奨
学金支給、家賃補助、賃上げ等、できることはなんでもやって、保育士確保に走る、
競う・・・。有効求人倍率6倍近いという異常な状況下で・・・。
でも、一度は東京に住んで、仕事をしてみるのもいいかな・・・。
そうなっても、そう思っても不思議ではない。
入れば入ったで終わり、ではなくて、やめられたら困るので、大手企業は、定着と
意慾向上のための施策・制度・方針も打ち出すでしょうから、それができない中小事
業者や地方の事業者との格差は一層開きます。
それで保育士の労働条件・就労環境が向上すれば、保育サービスの質の向上も伴っ
て良いこと・・・。(となるかどうか、まだこれからの課題ですが・・・)
問題となった地方の人口減少や地方消滅。
根幹の問題は、女性の人口が減少していき、結婚・出産が減り、人がいなくなる・・・。
そういう将来の姿。
それに加担するのが、首都圏の待機児童問題とその対策のための地方の保育士さん
の強力な勧誘、その地からの流出、となれば、その地域も地方の男性も心穏やかなら
ぬ事態・・・。
遅れを取らぬよう、手遅れにならぬよう、地方創生・地方再生で、首都圏から、大都
市から、人口を奪い取るくらいの魅力的な政策・方策を打たねばならないのですが・・・。
本音は、高齢者でなく、現役世代に極力来てほしい・・・。
若い世代が流出しないよう、他地域から若い世代を呼び込めるような決め手にできそう
なのが、実は、保育料の無料化や、子どもの医療費の無償化などの財政支出、住宅補助
など・・・。
でもそこに、女性の働く場も用意しておかないと、首都圏・大都市には負けてしまい
そう・・・。
この競争で、日本各地の生活のしやすさや社会的インフラが拡充されていくならばいい
のですが、反対に疲弊してしまわぬようにしなければ意味がありません。
それそれが持ち味を生かすことができるような政策の必要性。
保育問題は、事業者の問題だけでなく、国と地域の将来に関わる大きな問題を内包して
いる。
その視点・問題意識、そして対策が欠かせません。