トランプ政権で厳しくなる不法移民のベビーシッターやナニー活用の行方

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』(筒井淳也氏著・2016/6/20刊)
を参考にして、結婚と家族を考えるシリーズです。

「第4章 「男女平等家族」がもたらすもの」から。

第1回:成人親子未分離社会で、未婚化・非婚化はどこへ向かうか
第2回:ミレニアル世代、ブーメラン・キッズ。欧米と共通するパラサイト世代
第3回:「結婚、出産が当たり前でない」という理由付けが得意な人間の理性・知性
第4回:共働き先にありきではない、同棲・結婚・家族形成という人生の選択肢
第5回:出生率が高くなる共働き社会に落とし穴?

今回は第6回です。

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 第1節 「平等な夫婦」は目標になりうるか? (6)
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150~153ページの一部を整理し、引用しています。

”ナニーの憂鬱”

 共働き夫婦にとって、家事はやはり夫婦間の分担によって解決することが主流であ
り、
対応が分かれるのは、育児や介護などのケア労働。

 アメリカの中流家庭では、国内外の所得格差を利用して、低所得家庭出身の女性を
保育者として雇うケースが増えました。
 北米では、短時間子どもの世話をする人をベビーシッター、ほぼフルタイムで、し
ばしば住み込みで子どもを育てる責任を持つ人を「ナニー」と呼ぶことがあります。
 
アメリカの中流家庭では移民の女性がケアを担い、当の移民女性の子どもは国元の
親類やベビーシッターによってケアされ、ケア・サービスはアメリカではグローバル
な一大産業になっている。
政治に関わる人のナニー関連の不祥事のことを、「ウォーターゲート事件」にかけ
て「ナニーゲート」と呼んでいる

 政府からの公的支援が得られないアメリカの共働きカップルにとって、子どもの世
話を誰にやってもらうのかを決めるのは頭の痛い問題で、お金をかけたくない場合に
は、賃金の安い不法滞在のナニーを雇い、税(雇用
税と給与税をあわせた「ナニー税」
)も支払わないということが
一般的に行われている。

哺乳1

※次回、<「ケアの機会」の不平等> に続きます。

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「ナニーゲート」と呼べるかどうかは詳らかではないですが、同様、不法移民を家
政婦として雇用していたことが明らかになったことから、トランプ大統領から労働長官
候補とされていた、米大手ハンバーガーチェーン経営者のアンドリュー・パズダー氏が、
指名を辞退したことが、先月報じられました。

それほど、米国が、移民との所得格差を日常的に活用し、育児・保育の手段としてベビ
ーシッターやナニーという外部経済システムに依存してきたこと、今もそうあることが
示されたわけです。

トランプ政治で、とりわけ不法移民、不法滞在移民への取り締まり強化が、既に米国
社会に根付いている移民を含めて、ケア雇用、ケアシステム、ケア経済にどのような影
響を及ぼすのか、今はまだ不透明の状況です。

彼我の違いに、微妙な感覚を抱くのですが、待機児童問題が長引き、ベビーシッター
の活用に、一定の条件は付きますが、補助金を支給することにも変化してきた日本の事
情・実態が、現在あります。
理想とされるフランスや北欧諸国もあるなか、今後どうなっていくのか、非常に関心
があるテーマです。

(参考)
「『フランスはどう少子化を克服したか』から」シリーズ
潜在保育士をベビーシッターに。ネット仲介で活用:ポピンズ、小池都知事保育行政で事業に追い風 (2017/2/8)

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【『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』構成】

はじめに
第1章 家族はどこからきたか
第2章 家族はいまどこにいるか
第3章 「家事分担」はもう古い?
第4章 「男女平等家族」がもたらすもの
第5章 「家族」のみらいのかたち
あとがき

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【筒井淳也氏・プロフィール】
◆1970年生まれ。一橋大学社会学部卒業、同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
 博士(社会学)。現在、立命館大学産業社会学部教授。
 専門は家族社会学・計量社会学。
◆著書:『制度と再帰性の社会学』『親密性の社会学―縮小する家族のゆくえ
仕事と家族 – 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』など。

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(参考)

一昨年投稿の『「婚活」症候群』(白河桃子・山田昌弘氏共著・2013/7/20刊)
を参考に、「結婚」と「婚活」を考えるブログシリーズ。


第1章【「婚活」流行の背景と影響】(山田昌弘)
第1回:「
婚活」ブームがもたらした認識の変化「結婚できない不安
第2回:「婚活」が恥ずかしいことではなくなった時代の幕が開いて
第3回:『「婚活」時代』の誤算、恋愛抜きの結婚願望?
第4回:希望年収600万円以上の適齢期の未婚男性5.7%の狭き門への戦い

第2章【「婚活」の誤解と限界】(白河桃子)
第5回:結婚に対する意識の変化を提案した『「婚活」時代』が生んだ誤解
第6回婚活公認で女性がポジティブに。そして婚活未成就の負のサイクルが?
第7回婚活ブームは「再婚活」「晩婚活」を呼び、婚活格差を招いた?
第8回:「釣り堀婚」「価格.com婚」そして「ロトくじ婚」?
第9回結婚相手を選ぶ意識の変化以前に必要な、結婚への意識・考え方
第10回:強い女子力でも困難になった婚活時代は自活女子をめざす時代
第11回:「自活女子」「自活男子」化で一億総モラトリアム社会から脱却
第12回:社会的不妊と少子化を招く社会的不婚・未婚化改善のための働き方改革
第13回:「婚活」から「妊活」へは自然な流れ?

第4章【限界を突破するには】
第14回:
婚活を成功させるために必要な女性・男性・社会の変化を考える
第15回婚活成功のための女性の変化の条件「自活女子」とカップルのあり方
第16回:妊活・妊娠・出産を起点にして考える婚活・結婚
第17回:婚活もマーケティングと同じ法則。絞り込みで成功する婚活<女性編>
第18回:男性も変わるべき婚活時代・婚活戦線。女性の要望に応えられますか?
第19回:恋愛感情を相互の愛情に育てていけるか、結婚への道?
第20回:どうする異性観・セックス観の違いと草食系男子の面倒観ギャップ
第21回:2013年と変わらない安倍政権下の婚活をめぐる社会事情

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