経験・能力の高い女性が、在宅勤務やフリー契約で柔軟に働ける時代・社会に
女性の柔軟な働き方が可能な社会システムを!
そう考えさせる、2017/3/8付日経夕刊掲載のレポートを紹介します。
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ママ、フリーになる
子育て・仕事両立もうひとつの選択肢 スキルで連携し大きな仕事
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子育てと仕事を両立する働き方として、企業退職後にフリーランスを選ぶ母親が増
えている。
在宅ワークの広がりに加え、母親同士が連携して、事業単位で質の高い仕事を受注
する例が相次いでいることが背景にある。
出産など多様なライフイベントに直面する女性にとって有力な選択肢になりそうだ。
議室。
従業員の多様な働き方に対応した人事制度づくりの議論が熱を帯びていた。
議論をリードするのは、人材育成のコンサルティング会社、アビライトの安部博枝
社長(49歳)と、同社と契約を結びフリーで働く黒田江身子さん(46歳)だ。
アビライトは3人のコア社員以外は専門性の高い社外スタッフと契約。
大半がフリーで働く母親で、黒田さんもその一人。
かつては大手自動車メーカーの開発部門に勤務していた。
現在4歳になる長女が生まれた時は自動車メーカーの短時間勤務や在宅ワークを組
み合わせて仕事をしてきた。
仕事と育児を両立させるための制度は整っていたが使いづらい面もあった。
当時は在宅ワークは通常の勤務時間内に働くことが前提で、子どもを寝かしつけて
からの仕事は深夜労働になるとして正式には認められなかった。
「子育て時期は、もっと柔軟な働き方があるのではないか」。
黒田さんはそう痛感し、フリーになる決断をした。
「出産などでいったん退職すると企業への再就職は難しい」。
こう指摘するのは、アビライトの安部社長。
自身も企業を退職後に、2人の子育てをしながら様々な雇用形態を体験してきた。
退職した女性のなかで能力が高い人が数多くいることを実感。
アビライトでは面談などを通じスキルの高い女性と契約し「プロジェクト管理から
経営コンサルまで重要な仕事を任せている」という。
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「企業時代と同様の賃金水準で仕事ができる」。
こう語るのは、フリーでリサーチなどの仕事をこなす水間玲子さん(40歳)。
IT企業を経て監査法人で企業の社会的責任(CSR)のコンサルティングをして
いた5年前に出産。
その後、短時間勤務になると重要な仕事に携われなくなることに焦燥感を覚えた。
「このまま仕事を続けていては、どっちつかずではないか」と思い、ベンチャー支援
の企業に転職。起業の過程や多様な働き方を知り、その上でフリーという働き方を選
んだ。
現在は、総合職経験のあるフリーの女性を中心に3500人が登録している人材紹介企
業、Warisなどから仕事の紹介を受ける。
Warisが仲介する仕事の時間単価は3000~6000円。
大手企業と比べても遜色ない収入を実現できるのは、「総合職で10~15年働いた経
験を持つ女性の高いスキルを結集することで、専門性を要する高単価の仕事が成立す
る」(田中美和共同代表)からだ。
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「フリーでも創造的な仕事ができる」。
手応えを語るのは、3人の子どもを育てる小松紫穂里さん(33歳)だ。
ウェブ制作会社で顧客の要望を聞くディレクターをしていたが、長時間勤務が当た
り前だった。
長女が生後10カ月のときに個人事業主となって、フリーとして企業からウェブの運
用・管理の仕事を受け在宅でこなしたものの、「個人で受けられる仕事の量と質に限
界がある」と感じていた。
現在は、SBヒューマンキャピタルの人材サービス事業の一つ「マムズラボ」など
に参加している。
マムズラボをまとめる佐藤にのさん(38歳)によると「企業が個人のフリーに外注
する仕事は切り出しやすく単純なものが多い」。
マムズラボではスキルの高い人材を集めチームとして企業から仕事を受注するので
「企画段階から関わるような創造的な仕事もできている」。
新しい働き方に詳しいニッセイ基礎研究所専務理事の櫨浩一氏は、「いまの企業は、
午前9時から午後5時まで働ける人たちを標準として作られた組織。子育てをしなが
ら働く母親たちを標準にすれば、フリーランスで在宅勤務なども取り入れ、チームで
仕事をする、という働き方になるのではないか」とみる。
「ITの進歩で一カ所に集まらなくても仕事ができるようになった。一方で団塊世
代のリタイアが始まり空前の労働力不足になっている」。
2つの環境変化が重なって、母親たちの新しい働き方を後押ししている。
(相川浩之記者執筆)
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私も、サラリーマン時代に人事人材関係の仕事をし、その間、経営コンサルタント
と一緒に仕事をする機会や、コンサルティングや教育研修団体、出版社と接する機会
があったことから独立し、フリーの経営コンサルタントとなりました。
一応、小資本ですが、株式会社化し、株式配当や株式分割、増資などを行い、減資
も経て、資本金1000万円の企業に。
時に外部企業と協業したり、業務委託を受けたりという方式も活用しながら、今期
で30期目を迎えています。
その間、ほとんど自分から営業することなく、ご紹介や業務提携などでやってくる
ことができました。ありがたいことです。
30年間、働き方は、自宅を事務所にして企画業務、クライアント企業を訪問して、
ミーティングや研修などの出張実務業務。仕事の内容やボリュームに応じて、すべて
時間は自己管理。
自由に使えるのですが、契約の業務のボリュームが多ければ、自分の時間はすべて
仕事のための時間。
実態は、公私混同型、公私一体型の働き方・暮らし方であったと言えます。
しかしながら、出産・育児・家事はほとんどというか、すべてというか、かみさん
まかせだったので、今回のレポートのような状況における女性の働き方とは、まった
く異なるため、偉そうなことはまったく言えません。
このレポートにあるフリーの女性は、素晴らしい経験と能力をお持ちの方々。
特定の企業とのみ契約する形式、複数の企業と契約する形式、そして完全に独立事
業主となる形式、それらを、状況に応じて判断・選択し、長く継続して頑張って頂き
たいと思います。
文中で気になったのが、在宅勤務で、育児・家事などのために仕事を夜・深夜にや
りたくても、深夜勤務は禁止ということでできなかったという部分。
労基法上の深夜勤務に対しては、深夜割増を支給する必要があるなど、労務管理上
面倒な手続きが発生するなど、不都合があったためと想像されます。
確かに、個人の事情で夜就労するので、それに対して深夜割増などを付けるのはど
うか、という部分があります。
多分、個人としては、割増を要求するつもりはなくても、法規上は、就労記録を改
ざんするわけにいかず、企業サイドとしては避けたいでしょうね。
このあたりは、在宅勤務での特則を法制化して、柔軟に就労できるようにすべきで
しょう。働き方改革を掲げる政府・行政責任として行うべきことです。
在宅勤務の現実的な運用方法をより柔軟に、多様に行うことができるようにする。
テレワークなどインターネットを活用することを軸とした業務は、当然、夜・深夜
にやりたい、あるいは適している場合が多いと思います。
特に、育児や介護などの要素が加わると一層個人の事情・状況に応じて仕事をしたい。
はやり、法律の支援が不可欠です。
活躍云々でなく、普通に、事情に応じて柔軟に仕事をし、職責をまっとうし、暮ら
しと生きがい、仕事とやりがいの両立・実現、そして自己実現も・・・。
女性が、在宅勤務を含め、フリーで働くという選択肢を、当たり前に選べる環境・
時代に、と思います。
その中に、新しい「家業」の概念の働き方の可能性も追求して欲しい、とも・・・。