子ども人口36年連続減少。急ぐべき少子化対策:「こども保険」方式の導入で保育園無償化・義務教育化早期実現へ!

自民党の若手議員が構成する特命委員会が提案したことで、実現に向けて、一歩
目を踏み出した感がある、幼児教育等の無償化問題。
最近、以下で取り上げました。

自民党若手議員小委、「こども保険」創設で社会保険制度化提案:義務教育無償化を幼児教育にも拡大して (2017/3/31)
小泉進次郎参加特命委提案「こども保険」による幼児教育・保育無償化コストは1.2兆円:内閣府試算 (2017/4/25)

この話題に関する続報と言える、2017/4/27、同28付日経記事を以下紹介します。

------------------------------
 経団連、「子ども保険」に懸念 子育て支援財源提言
------------------------------

経団連は子育て支援の財源に関する提言をまとめた。

自民党が提案する幼児教育や保育を無償にする「子ども保険」構想は、高齢者が
負担する仕組みになっておらず、勤労世帯の社会保険料負担が重くなるなか、必要
な財源の負担が、働く世代と企業に偏り、世代間の公平性の観点から問題がある、
強い懸念を表明。

 代替案として新しい税財源を確保して子育てに充てるべきだとする。
 使途は低所得者や子どもが多い世帯に限定すべきだと主張。
現金給付よりも保育所の整備など現物支給が望ましいとも指摘した。

教育国債の構想は「将来世代への負担の先送りは回避すべきだ」と反対。

 子ども保険では企業や働く人の社会保険料負担を上乗せして幼児教育の無償化な
どの財源に充てる構想。政府も教育や人材育成の充実を重視。政策実現に向けた財
源が焦点になる。

--------------------------------

 経団連の意見は、当然と思われるものです。
しかし、こども保険の考え方・理念には反対であるはずはないでしょう。

 企業に勤める者と企業だけが負担するのではなく、国民年金保険料を負担する人、
年金受給者も、基本的には、成人全員が負担する「こども保険」制度とすべきです。

次の文は、経団連の意見を受けて、日経記者が述べた意見です。
一部手を加えました。

-----------------------------

子ども保険への期待

小泉進次郎氏など自民党若手議員が提唱した「子ども保険」構想。
 未就学児童を対象に新たな給付を設けるもので、厚生・国民年金保険料へ0.1%
相当分を上乗せして財源を確保する。

 すでに自民党が提案した教育費のための国債発行への対案であるが、なぜ国債で
はなく社会保険料か、整理してみたのが以下。

1)国債発行は現世代の負担とならず、政治的な抵抗感がない。このため増税なし
に教育の充実等、与野党のポピュリズム政治の常とう手段と
なっている。
 が、すでに日本の国債発行額は2016年で国内総生産(GDP)2.3倍と先進国中で
最悪の水準。
他方、子ども保険料は就学前児童給付に限定された事実上の目的税で、
現世代の
理解を得やすい
また、将来世代のための持続的な固有財源を確保することができる

2)年金や高齢者医療・介護等、高齢世代への所得移転に偏った日本の社会保障費
のアンバランスを改善できる

3)幼児教育への公的支出には、就学後教育と比べても大きな効果が見込まれる

4)子どものいない世帯には、単なる負担増となるという批判は近視眼的現行の
年金給付は、高齢者が過去に支払った保険料や税だけでは到底賄え
ず、将来世代に
依存する部分が大きい。
これを負担する子ども世代を育成するための支援は、現世
代の責務
でもある。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 しかし、小泉案のような年金保険料への上乗せ分だけでは、保険料を払い終わ
った年金受給世代は負担を免れ、勤労世代との不公平が拡大する
 これに対しては、介護保険料と同様に、年金給付から子ども保険料相当分を差し
引けばよい。厚生年金は過去の賃金に比例した、高所得者ほど多くの給付を受け取
る仕組みであり、事実上、賃金の後払いに等し
い。

 疾病や介護など生活上のリスクに見合う社会保険料を、家族の選択である子ども
に給付することへの原理的な批判もある。
 が社会保険を、自らの生活リスク回避という消極的目的に限定する必然性はない。
 少子化という社会全体の問題への対処として、あえて将来への人的投資と捉える。
その上で、子どもを育てるリスクを担う家族を支援する目的税と見なせばよいので
はないか。

1

-----------------------------------

こうして政策レベルに引き上げられ、議論が公開され、深まっていけばと思います。

翌、2017/4/28付日経では、特命委員会の課題の一つである<財政再建>問題と結
びつけて添えられた意見内容について、報じていました。
以下、一部省略して紹介します。

----------------------------------

教育国債は「不適当」 自民特に命委、無償化巡り意見書

自民党の財政再建に関する特命委員会4月は27日、財政健全化に向けて政府に
提出する意見書をまとめた。
 その中で、党内の一部に求める声がある、教育無償化のための国債発行を
「親世代が果たすべき責任から逃れ、子ども世代に強制的に負担をつけ回す」と
批判して不適当とし、無償化の財源は「無駄な歳出削減で捻出すべき」とした。

 また、特命委自らが提案している、働く人の保険料を上乗せして幼児教育を無
償化する「こども保険」については「真摯な提案の一つ」と評価し、党内で制度
設計の議論を深めるべきだとした。

93

-----------------------------

いろいろな案、考えが提起され、多面的に検討されたうえで決定する。
そういう考え方、プロセスは大事ですが、それにしても「国債」でまかなうな
どという考えが出てくるのは、ナンセンス以外のなにものでもない。
そう単純・短絡的に考える国会議員・政治家がいるということ自体、恐ろしい
と言うか、おぞましいと言うか、情けないと言うか・・・、信じられないのであ
ります。
良識・センス、そして人格を疑う・・・。

それから、現金給付ではなく、現物給付であるべきことも明らか。

まあ、それはさておいて、指摘され、懸念される問題点を再検討したうえで、
より実現可能かつ有効な制度を、少しでも早くとりまとめ、法制化して欲しい。
この課題は、超党派で取り組むべきもの。
2020年にめざすという憲法改正などよりも、優先度・重点度が高い政治課題
なのです。

4月1日時点での14歳以下の子どもの人口が36年連続で減少し、1571万人。
前年比でなんと17万人減。

こうした急速な少子化を少しでも緩やかにするためにも、子ども保険方式の
導入で、保育園の完全無償化・(一部)義務教育化を実現すべき。
仕事を急ぎましょう!
9

 

関連記事一覧