骨太方針原案に、子どもの保育・教育費用無償化:子ども保険制度と保育無償化をめぐる議論(1)

消費税問題よりも、ある意味、暮らしと密着し、かつ少子化や待機児童問題などの
困難な課題の改善・解決に関係する「子どもの保育・教育の無償化」課題。
今年の3月に発表された「こども保険」制度の導入によるその政策提言が、いよい
よ現実味を帯びてきました。

「こども保険」にまつわる報道と動きに関しては、すでに、以下で取り上げました。
自民党若手議員小委、「こども保険」創設で社会保険制度化提案:義務教育無償化を幼児教育にも拡大して (2017/3/31)
小泉進次郎参加特命委提案「こども保険」による幼児教育・保育無償化コストは1.2兆円:内閣府試算 (2017/4/25)

そして、2017/5/30付日経で続報として報じられた内容を、一部修正して、以下紹
介します。

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 教育、早期に無償化 骨太方針原案
 こども保険、検討を加速 首相指示、自民特命委「年末までに」
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政府が6月に閣議決定する経済財政運営の基本方針(骨太の方針)の原案が5月29日
明らかに。
 子育てから社会人まで全世代への教育投資の拡充を柱に据え、保育園や幼稚園の費
用負担を早期に無償化する方針を明記している。
 自民党の小泉進次郎氏らが提唱した「こども保険」を含め、
1)新たな社会保険 2)税 3)歳出の効率化
の3案で財源を捻出するとしているが、内閣府は無償化に1.2兆円が必要だと試算する。

 これに伴い、

安倍首相は5月29日、自民党茂木敏充政調会長に対して、企業が折半する社会保険料
を上乗せ徴収して、幼児教育を無償化する「こども保険」の検討を加速するよう指示。
「責任ある安定的な財源を検討しながら議論するのは良いことだ。検討を進めてほしい」
と伝えた。

 茂木政調会長は自民党の人生100年時代の制度設計特命委員会の委員長を務めており、
「こども保険」の創設を柱とした同委の中間提言を首相に提出。
 財源の候補として社会保険料のほか税、拠出金などを挙げ、年末までに結論を得る
方針を盛り込んだ。
 児童手当を上乗せしたり、保育園の料金を減額したりし、子育て世帯の負担を軽減
する。

双日保育

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この動きに伴い、いよいよ、各方面からの意見・提案がマスコミを賑わす段階に入っ
ていきます。

5月5日の子どもの日に、以下を投稿しました。
子ども人口36年連続減少。急ぐべき少子化対策:「こども保険」方式の導入で保育園無償化・義務教育化早期実現へ!

「こども保険」方式には、大きな問題・欠点があります。
社会保険・社会福祉・社会保障制度の理想としての国民皆保険制度から乖離し、現役
サラリーマンだけを保険料納付者と限定していることです。
保険方式か、税金か・・・。
ここは、十分な検討が必要でしょう。
国債でなどという馬鹿げた意見も自民党議員から当初出たのですが、当然消えました。

加えて、無償化と合わせて、4歳児・5歳児の保育園の義務教育化も課題とすべきと考
えます。

年末までに、どういうプロセスを経て、どういう結論に至るか。
非常に興味深いですね。

その一歩目とも言ってよいでしょうか。
今回の記事掲載の同日同紙に、4人の識者の意見が掲載されました。
次回から2回に分けて、その内容を紹介し、考えてみたいと思います。

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<参考図書>

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